このページでは、このサイトが定期的に行っている個人投資家の方々に行った過去のアンケートの結果をご覧いただくことができます。
2024年度版 J-REIT個人投資家アンケート調査結果
<ハイライト>
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回答者の主要な属性は40~70代の男性であるが、昨年より70代以上の割合が減少する一方、50代以下の割合が増加し、回答者に若年傾向が見られる。性別では女性の割合が4%と低い。回答者のうち95%がJ-REIT個別銘柄の投資経験を持つ。REITに投資する目的や銘柄選択基準に「分配金利回り」が活用されている点、また5年以上の長期投資と考える割合が73%と高い傾向が続いている点から、長期のインカムゲイン投資商品としてREITの特性・魅力が広く認知されている。
- 一方、REITが金融商品へ占める割合は、現状「20%未満」である層が52%と昨年の46%より上昇していることは、REIT投資比率が減少傾向であることが分かる。また将来的に「20%未満」「20%~40%」にしたいと考える層が同率で38%となり、REIT投資比率を現状より高めたいと考える割合が一定あるものの、過去と比較するとその割合が徐々に低下しており、REIT投資に慎重な変化が窺える。
- REITを売却する要因は、「投資口価格の上昇、売却益の確定」が回答者の38%を占め最も高いが、昨年の44%より低下した。次に「分配金利回りの低下」と「投資口価格の下落、損切り」が、昨年2番目であった「他のREIT銘柄へ乗り換え」を上回っている点から、REIT銘柄の買換えではなく単純売却の動きが増加している。投資口市況の低迷を受けて、投資家の動きに変化が見られる。
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今後投資したい用途は、昨年に引き続き「物流施設」が最も多く、REITの主要な投資対象の一つとして認識されている。2番目に「住宅」がランクするが、昨年と比較とすると物流施設との票差が縮小しており、収益安定性が高いこれら2つのアセットが投資家に評価されている。一方、昨年は6番目へ下落した「オフィスビル」が今回は3番目に復活した。オフィス市況の回復に伴い過度な懸念が後退したと見られる。また昨年同様にREITの投資対象として未だ確立していない「インフラ施設」への期待が根強い。
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今後REITへ期待する点は、「1口当たり分配金の成長」が最も多く、次に「1口当たり分配金の安定」と続き、引き続きインカムゲイン投資としての期待が大きい。また「投資口価格の安定」が昨年の5番目から3番目にランクアップしている点は、長引く投資口市況の低迷を反映している。
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REIT投資未経験者のうち、今後投資したい層は92%と高い。内訳は「REITの投資信託・ETF」へ投資したい層が56%と、「REIT個別銘柄」へ投資したい層36%より多いものの、昨年と比較すると、個別銘柄へ投資したい層が増加し、REITの投資信託・ETFへ投資したい層が減少した。一方、「今後も投資しない」と考える層が8%存在しており、背景には投資口価格下落リスクやREIT市況への懸念を理由とする。
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新NISAの活用状況については、「REIT個別銘柄」へ投資が52%と全体の過半を占める。一方、「未だ利用していない(利用しない)」層が26%を占める。昨年の調査で新NISAでREIT個別銘柄へ投資したいと考える層が68%であったことから、新NISA未利用者のREIT投資が今後期待できよう。
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<調査目的及び手法>
- 調査目的:
J-REIT(不動産投資信託)は、市場創設から23年が経過し、2024年11月現在、57銘柄が上場、市場全体の時価総額は14.5兆円になります。不動産賃貸事業に特化し安定した収益を裏付けに着実に実績を積み重ねた結果、不動産を運用する主体として不動産市場を牽引する存在に成長するとともに、高い分配金利回りを持つ金融資産として広く認知されてきました。
一方、2024年は株式市場が好調であったのと対照的に、REITの投資口市況は停滞感が続いています。
このような市場環境のなか、J-REITポータルサイト「JAPAN-REIT.COM」は、個人投資家の皆様がJ-REITの商品性及び昨今の投資環境の変化をどう捉えているのか、その実態把握と今後の市場動向予測、またJ-REIT市場の更なる拡大を目的とし、個人投資家を対象にアンケートを実施しました。
- 調査手法: 「JAPAN-REIT.COM」内にアンケートフォームを設置
- 調査期間: 2024年11月14日~2024年12月14日
- 対象: 個人投資家
- 回答数: 463
<アンケート結果>
1. 回答者の属性 (n=463)
<性別>
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<年齢> |
<J-REIT個別銘柄の投資経験> |
2. J-REIT投資を始めた理由は?(n=個別銘柄投資経験あり438、延回答数2,130)
3. 銘柄選択の基準は?重要視することは?(n=個別銘柄投資経験あり438、延回答数2,044)
4. 現在のJ-REIT投資額は?金融資産全体に占める割合は?(n=個別銘柄投資経験あり438)
<現在のJ-REIT投資額>
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<J-REIT投資額が金融資産全体に占める割合>
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5. J-REIT投資運用期間(予定含め)は?(n=個別銘柄投資経験あり438)
6. 今後J-REIT投資額を金融資産全体の何%にしたい?(n=個別銘柄投資経験あり438)
7. 今後投資したい用途は?(n=個別銘柄投資経験あり438、延回答数1,183)
8. 売却しよう(もしくは売却した)とする要因は?(n=個別銘柄投資経験あり438、回答数=1,051)
9. J-REIT個別銘柄に投資しない理由は?(n=個別銘柄投資経験なし25)
10. 今後J-REITに投資したい?(n=個別銘柄投資経験なし25)
11. J-REIT投資(または追加投資)するために望むことは?(n=463、延回答数1,741)
12. 新NISA制度を利用してREITに投資した(もしくはしている)? (n=個別銘柄投資経験あり438)
13. REIT取引の主な証券会社は? (n=個別銘柄投資経験あり438)
16. 皆様からのご意見(抜粋)
- 投資口価格が回復する様子が無い。米長期金利等の状況を踏まえ、来年も価格の回復にはあまり期待が持てていない。上がり始めたらまた買いたい。
- オフィスビルや物流施設、ホテル以外の不動産を主とするJ-REITがこれから増えてくるといいなと思います。
- 株式に比べて相対的な割安感を感じ、投資をしているが、どこまで株価が下げるのかが不透明。そのため自己株買いを公言している投資法人に注目して投資を行うつもり。
- 毎月分配型投信をNISAの対象にしてほしい。
- 日銀が利上げ方向である現在、REITには新規投資はしない。むしろ撤退を考えている。
- 株のように個別銘柄の速報がないため、その日の価格上昇/下落が何故起こっているのか分からない。
- J-REITが下落傾向にあり将来的に投資を続けて良いのか不安。J-REIT業界から投資家への情報発信が非常に少ない。
- 個別株投資を長くしている個人投資家でも、J-REITの存在を知らない、仕組みがわからず投資していない人が多いと感じます。J-REITの良さが周知されると良いと思いました。
- 鉄道系のホテルリートができると面白いと思います。
- 年間の分配金(年金補完)は目標通りなのでキャッシュフローは支障ないが、最近は評価損の銘柄が多く、買い増し資金もないので、「辛抱、辛抱」と自分に言い聞かせている。
- 日銀の保有する投資口をどうするのか決めて欲しい。
- 利回りは魅力で投資しているが、あまりにも価格が長く下落が続き、その理由がよくわからない。
- 物件購入や売却のIRにでてくる鑑定価格は正当か?
- 1口単価が下がれば良い。若しくは株式分割して買いやすくなれば良い。
- スポンサーの投資比率をあげてもらいたい。スポンサーにとってもREITと同様のリスクを負っていただきたい。
- 安易な合併や専門テーマREITだったのに総合型へ方針転換、ディスカウント増資など、ガッカリすることだらけで、今後REITを追加で購入することはないです。今のままではスポンサー会社の不動産株を購入した方がリターンも利回りもいい状態が続くでしょうから。
- コロナ禍を契機とした在宅勤務拡大によるオフィスビルの需要減少や最近の金利上昇等、J-REITに不利な状況が続いていると思います。今後のJ-REITの行く末を見守っていきたいと思います。
- データセンターREITの創立を願う。
- 金利上昇懸念等で昨今リート価格が低下し利回り上昇していますが、今後の動向(価格、利回り)の読みが知りたいです。
- 海外不動産への投資を希望。
- 配当の安定性は株式の比ではなく、配当重視の自分にとっては最適な金融商品と考えている。最近は絶好の買い時と考えており、買い増ししている。
- 最近のREIT価格低迷は、コロナショック同様に個人投資家にとってはありがたい機会と捉えています。
- 株価下落時の1口当たり株主価値を毀損するような大型増資は勘弁してほしい。これは投資家や業界の専門家からもしっかり声をあげていくべきだと思っています。
- 分配金はもらっているとはいえ、保有リートの含み損はまあまあ大きいです。
- 金利上昇に関しての分配金シミュレーションの開示を希望。
- 急激に進む少子化が中長期的にREIT(不動産価格)に大きなネガティブインパクトをもたらすことを心配しており、5年以内にREITの保有割合を減らそうと思っています。
- 投資口価格が金利に敏感すぎるが、REITはインフレに対応できるのか。
- 今後も安定的かつ高配当を期待します。
- REITに投資するまでの敷居が高い(用語など含め難しい、とっつきにくい)ように思います。
- 最近投資口価格が下がり買いやすくなった。株式分割が増えてきたのはありがたい。
- 暫くは金利上昇が予想され、Jリートには逆風が続くと思われます。高利回り銘柄中心に買い増ししようと思います。
- 現在東証リート指数は過去10年間の大底圏、利回りも5%で2012年の指数1,000の頃(アベノミクス、黒田バズーカ開始年)に遡る。なので今は大底圏。さすがに今はリートの買い場と判断していい。
- スポンサーとの利益相反を懸念。
- 安定した資産になるように(借入金が多くならないほうがありがたい)お願いしたい。遊休不動産も開発してほしい。
- ネガティブな外部環境が継続しており、ストレスフルな状況ですが、分散投資対象として引き続き注視していきます。
- 運用会社が、スポンサー企業から十分独立していないのではないか。利益相反を疑わせる物件入れ替えや、NOIの低い物件購入がある。
- 主たる投資対象について、その時価での比率がわかりやすく情報開示する工夫をされたい。
- J-REITは注目度が高くない印象です。必ずしも投資口価格の爆上がりを期待しているわけではありませんが、正直やや寂しいです。
- 原則配当金目的のため大きな株価上昇を望むわけではないが、インフレ見合いの株価上昇を期待する。インフレ時に株価がステイである場合、実質含み損になるため。
- 業績予想に数字以外にコメントを出してもらいたい。
- 現在のJ-REIT株価を割安にさせている要因の復習と相関性の明示を要望(分配金利回り(金額)が低下・減額する場合の要因など)。
- 中期の金利固定化による安定性アピールと、含み益の顕在化により、金利変動後も安定配当を行えることをアピールして、NAV倍率1倍まで戻してほしい。
- コロナ後に購入を進めてきたが、今年になってからの下落で含み損に転換。いくら利回りが5-6%でも、時価総額がこれだけ低迷すると、投資ウェイトをあげるのは難しい。
- 増資は程ほどにしておいて欲しいです。
- 直近は米国金利上昇のため、時価総額が大きめのREIT-ETFしか追加していない。
- 今年のJ-REIT価格の低迷は、過去に例のないほどの惨状なので、来年はもう少し元のレベルに戻ることを期待しています。長期的にはJ-REITを投資対象の中心においていくことには変わりありません。
- 投資資産の分散を計画しており、新NISAではじめたばかり。不動産に投資は自分に合っていないのでREITは良いと考えています
- 最近の価格下落で含み損が出た銘柄もあり、運用利回りと比較し考慮。
- J-REIT は仕組み的に成長がしにくいので、成長を目的とした利益の内部留保を可能にするなど柔軟な運営ができればと思います。
- 投資口価格下落に対して対策を立てて欲しい。長期投資であったとしても含み損が大きくなることに対して恐怖感が強い。
- 個人投資家からの認知が低すぎる。株の高配当銘柄同様の魅力があるはずなのに。そもそも知られていない気がする。
- 日銀利上げへの警戒心が原因と思われるが下落し過ぎではないでしょうか。上昇に転じるきっかけとタイミングを探りたい。
- 上場会社の経営陣が株主、お客様、社員の批判に常にさらされているように、REIT会社の経営陣も投資者を意識せざるを得ない仕組みが欲しい。
- 日銀、投信、銀行の買いも期待できない中、新たに有力な買い手が現れる可能性はありますか?
- 足元は価格の下落が止まらない。長期的にはスポンサーとの利益相反を感じる時がある。
- 総合型が増えて、特徴のないREITが増えてしまったのが残念。
- 2024年のREIT相場急落は想定外。
- インフレに見合った家賃収入を得られるよう、スポンサーに努力していただきたいです。
- インフラ投資など多様化、資本効率から事業会社からの取得機会に繋げ市場規模をより大きくすることを期待する。
- 市場の流動性を含めた厚みを増してもらいたい。
- スポンサー変更や合併をせず、どっしり運用してほしい。
- 価格の上昇より分配金の安定性を重視しようと思い、来年はNISA枠での購入を考えています
本アンケートに関するお問い合わせ: JAPAN-REIT.COM運営事務局(アイビー総研株式会社 03-6661-1014 info@ibrc.jp)
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