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J-REIT市況月次レポート 2022年3月

1.REIT全体市況

3月の東証REIT指数は、前月比+6.69%の上昇。一ヶ月通してTOPIXに近似した推移であったが、同期間のTOPIXの上昇率3.15%を大きく上回った。
月前半は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアに対する経済制裁の影響を懸念、また米国のインフレ加速に対する警戒感から、世界的に株安が連鎖。これを受け東証REIT指数も3日以降5営業日連続の下落となり、9日終値は1,843.50ポイントと1月20日以来1ヶ月半ぶり安値となった。
月後半は、米FRBが利上げを実施しインフレ抑制を重視する姿勢を示したことで長期金利が上昇したが、円安進行に伴う株式相場の上昇、また日銀が金融緩和を維持する方針を示したこと等から、東証REIT指数は大幅上昇となり、29日終値は2,023.05ポイントと1月7日以来2ヶ月半ぶり高値となった。
月間ベースで見ると、昨年12月以来3ヶ月ぶりの上昇。昨年末の2,066.33ポイントに近付き、年明け以降の下落分が概ね解消された形となった。
東証が発表する投資部門別売買動向によれば、3月は外国人投資家が円安を背景に639億円の大幅買越しとなり、相場上昇を牽引した。一方、国内金融機関は年度末を控えた利益確定により412億円の大幅売越しとなった。

個別銘柄では、全61銘柄全てが上昇した。なかでも住宅・ヘルスケア銘柄のヘルスケア&メディカル投資法人、ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人、大和証券リビング投資法人、物流施設銘柄の三菱地所物流リート投資法人、スポンサー交代を発表した日本都市ファンド投資法人が、前月比+10%超の大幅上昇となった。

3月は公募増資の発表がなかった。公募増資が途絶えたのは新型コロナウイルス発生により投資口価格が急落した2020年3月~5月以来約2年ぶりとなる。年初より米国の早期利上げ観測による金利上昇懸念やオミクロン株感染拡大によって投資口価格が急落したことに加え、2月後半からのロシアによるウクライナ侵攻によって、投資口市況の先行き不透明感が高まったことが、増資がストップした要因と見られる。

個別銘柄の動きでは、商社スポンサーにおける不動産投資事業再編の動きが見られる。
日本都市ファンド投資法人(JMF)と産業ファンド投資法人(IIF)のスポンサーである三菱商事とUBSが、JMFとIIFの資産運用会社である三菱商事・ユービーエス・リアルティの株式全てを米国投資ファンドのKKRへ売却することを発表した。これによりKKRが両投資法人のスポンサーとなり、三菱商事とUBSは上場REIT事業から撤退する。2002年3月にJMF(旧・日本リテールファンド投資法人)が上場してちょうど20年の節目となり、三菱商事によれば、事業ポートフォリオの最適化を目的とした取引であり、今後は子会社の三菱商事都市開発とダイヤモンド・リアルティ・マネジメントを通じて、私募REITや私募ファンド、海外事業へ集中投資する方針。KKRにおいては本取引によって日本を含めた海外不動産の運用資産残高が410億ドルから550億ドルへ拡大する。KKRの持つ不動産運用の知見やネットワークを活用し、JMF及びIIFの更なる成長を目指す。
アドバンス・レジデンス投資法人の資産運用会社であるADインベストメント・マネジメントと、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人の資産運用会社である伊藤忠リート・マネジメントが6月に合併する。本合併に先立ち、伊藤忠グループが新たに総合型の私募REIT設立を発表しており、これにより合併後の資産運用会社が上場REIT及び私募REITの計3つの投資法人を運用する。伊藤忠グループによれば、不動産投資事業を再編することで、事業基盤を更に強化し、資産規模拡大を図る方針。
このように商社スポンサーにおける不動産ビジネスの選択と集中が進んでいる。私募REITは用途を問わない総合型が多い点からも、上場REITのみならず私募REIT事業と併せて両者を使い分けることで、両者のメリットを享受する流れにある。

物件売買の動きでは、引き続き物件入替えが進んでいる。築年数が経過し将来的な収益低下リスクのある物件を売却し、売却益を分配又は内部留保する。森ヒルズリート投資法人が、渋谷区に保有するラフォーレ原宿(底地)をスポンサーである森ビルに分割売却し、更に今後も分割売却する可能性を示す。賃貸市況の低迷期において物件売却益が長期的な分配金安定に寄与するものと期待できる。



<市況データ>

 

2022年3月末現在

(前月末比)

東証REIT指数(配当なし)

2,003.04

+125.66

東証REIT指数(配当込み)

4,536.64

+292.99

時価総額合計

16兆6,184億円

+1兆 696億円

平均分配金利回り(時価総額による加重平均)

3.64%

-0.25



<東証
REIT指数と予想分配金利回りの推移>  (グラフは2020年4月~2022年3月の24ヶ月間) 





2.個別銘柄データ

2022年3月末現在
証券
コード
投資法人名 投資口価格
(円)
価格騰落率
(1ヶ月)
予想分配金
利回り
時価総額
(百万円)
時価総額
シェア
8951 日本ビルファンド投資法人 692,000 5.17% 3.54% 1,177,086 7.08%
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 639,000 4.24% 3.58% 885,149 5.33%
8953 日本都市ファンド投資法人 103,000 10.63% 4.37% 719,876 4.33%
8954 オリックス不動産投資法人 165,300 2.73% 3.85% 456,228 2.75%
8955 日本プライムリアルティ投資法人 399,500 6.82% 3.88% 398,373 2.40%
8956 NTT都市開発リート投資法人 161,100 7.11% 4.16% 225,803 1.36%
8957 東急リアル・エステート投資法人 197,700 9.47% 3.60% 193,272 1.16%
8958 グローバル・ワン不動産投資法人 112,100 1.17% 4.33% 106,382 0.64%
8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 140,700 7.00% 4.41% 438,750 2.64%
8961 森トラスト総合リート投資法人 143,000 3.92% 4.25% 188,760 1.14%
8963 インヴィンシブル投資法人 42,200 7.38% 0.79% 257,287 1.55%
8964 フロンティア不動産投資法人 507,000 7.19% 4.33% 274,287 1.65%
8966 平和不動産リート投資法人 149,800 8.08% 3.93% 158,149 0.95%
8967 日本ロジスティクスファンド投資法人 317,500 5.66% 3.18% 296,545 1.78%
8968 福岡リート投資法人 168,000 7.14% 4.17% 133,728 0.80%
8972 ケネディクス・オフィス投資法人 731,000 7.66% 3.83% 313,241 1.88%
8975 いちごオフィスリート投資法人 88,200 6.14% 5.19% 133,479 0.80%
8976 大和証券オフィス投資法人 757,000 6.92% 3.70% 369,483 2.22%
8977 阪急阪神リート投資法人 154,100 6.42% 3.80% 107,130 0.64%
8979 スターツプロシード投資法人 238,200 5.68% 3.80% 60,450 0.36%
8984 大和ハウスリート投資法人 328,000 5.30% 3.41% 760,960 4.58%
8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 62,300 6.13% 0.59% 278,294 1.67%
8986 大和証券リビング投資法人 115,100 10.04% 3.79% 253,783 1.53%
8987 ジャパンエクセレント投資法人 135,000 5.30% 4.15% 182,655 1.10%
3226 日本アコモデーションファンド投資法人 640,000 5.79% 3.14% 322,222 1.94%
3234 森ヒルズリート投資法人 151,100 9.49% 4.02% 289,557 1.74%
3249 産業ファンド投資法人 184,900 7.31% 3.31% 382,746 2.30%
3269 アドバンス・レジデンス投資法人 344,500 6.99% 3.31% 477,133 2.87%
3278 ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 213,500 13.14% 3.85% 223,269 1.34%
3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 424,000 9.14% 4.37% 348,848 2.10%
3281 GLP投資法人 185,400 8.04% 3.25% 832,514 5.01%
3282 コンフォリア・レジデンシャル投資法人 328,500 5.80% 3.26% 235,200 1.42%
3283 日本プロロジスリート投資法人 356,500 5.63% 2.74% 951,980 5.73%
3287 星野リゾート・リート投資法人 683,000 5.08% 2.15% 166,894 1.00%
3290 Oneリート投資法人 299,700 4.83% 4.75% 80,460 0.48%
3292 イオンリート投資法人 151,000 5.52% 4.33% 308,715 1.86%
3295 ヒューリックリート投資法人 166,600 6.52% 4.44% 239,904 1.44%
3296 日本リート投資法人 383,000 6.54% 4.37% 172,323 1.04%
3451 トーセイ・リート投資法人 137,100 7.28% 5.19% 49,562 0.30%
3309 積水ハウス・リート投資法人 80,700 5.63% 4.20% 357,592 2.15%
3453 ケネディクス商業リート投資法人 279,800 7.08% 4.85% 162,893 0.98%
3455 ヘルスケア&メディカル投資法人 160,100 13.47% 4.14% 57,556 0.35%
3459 サムティ・レジデンシャル投資法人 126,000 7.14% 4.51% 96,973 0.58%
3462 野村不動産マスターファンド投資法人 161,200 6.19% 4.02% 760,090 4.57%
3463 いちごホテルリート投資法人 86,400 6.27% 1.96% 22,030 0.13%
3466 ラサールロジポート投資法人 175,200 6.25% 3.49% 312,732 1.88%
3468 スターアジア不動産投資法人 62,100 7.25% 4.75% 111,121 0.67%
3470 マリモ地方創生リート投資法人 130,900 4.39% 5.61% 25,162 0.15%
3471 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 575,000 9.52% 2.91% 331,200 1.99%
3472 大江戸温泉リート投資法人 69,700 6.09% 4.17% 16,404 0.10%
3476 投資法人みらい 52,900 8.18% 4.81% 93,709 0.56%
3478 森トラスト・ホテルリート投資法人 126,600 3.26% 1.65% 63,300 0.38%
3481 三菱地所物流リート投資法人 473,500 11.02% 3.15% 213,044 1.28%
3487 CREロジスティクスファンド投資法人 207,600 8.81% 3.41% 117,232 0.71%
3488 ザイマックス・リート投資法人 125,000 8.13% 5.54% 31,206 0.19%
3492 タカラレーベン不動産投資法人 123,100 7.51% 4.71% 70,783 0.43%
3493 伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人 158,000 7.78% 3.46% 94,820 0.57%
2971 エスコンジャパンリート投資法人 136,100 2.41% 4.93% 47,903 0.29%
2972 サンケイリアルエステート投資法人 111,900 3.42% 4.83% 52,268 0.31%
2979 SOSiLA物流リート投資法人 160,700 8.95% 3.24% 109,536 0.66%
2989 東海道リート投資法人 115,600 7.14% 5.55% 20,438 0.12%


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予想利回り算出方法:年換算予想分配金(当期予想分配金+次期予想分配金)/投資口価格

但し、 決算期が年1回の銘柄: 年換算予想分配金(当期予想分配金)/投資口価格

※予想分配金が未発表の場合、直近期の予想分配金を使用する 

※実質運用日数が変則期間の場合、年換算に修正する 

※利益超過分配金は分配金に含めて算出する

 

バックナンバー

※2013年11月以前のバックナンバー(PDF)はこちら

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決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 コンフォリア・レジ +0.66%
2 日本ビルファンド +0.23%
3 いちごホテル +0.15%
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