今回は、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 鈴木 靖一氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
OBRは過去5物件で実績があり、加えて今後のポテンシャルとして現在8物件の候補があります。OBRは保有物件の再開発によって、賃貸面積の増加やスペックを向上し、収益力や資産価値を増加させる取り組みですが、最近では、過去5物件で蓄積した物流施設の開発に関するノウハウを活用した「事業パートナーとの協同開発」に力を入れています。この取り組みでは日本ロジが開発主体となる事業パートナーに対して、必要なノウハウ等を提供します。具体的には土地のソーシング、開発、リーシング等一連のバリューチェーンにおいて大きな貢献を果たすことになります。通常の物件取得においては、物件の土地代と建物代にデベロッパーの開発利益が加算された価格で取得することになりますが、この協同開発においては開発段階の日本ロジの貢献に応じて、開発利益相当分を事業パートナーとシェアすることが可能になりますので、その分安く、優位な利回りで物件を取得することができます。
繰り返しになりますが、稼働している物流施設の価格は以前よりだいぶ高くなっている中で、単純に市場から買ってくるのでは資本コストに見合わないことが多いので、日本ロジでは物件取得において様々なアプローチを検討しています。 スポンサーからの物件取得に加え、開発案件であればOBRや協同開発、稼働資産の取得であれば相対取引や参加者が限定的な入札への参加、その他ですと、CRE提案、他プレイヤーとの相対取引などがあります。足許では日本ロジとしては協同開発による物件の取得を注力分野としています。運用力を強化するために資産運用会社では人員をこの3年で1.5倍以上に増強しており、その中でも特に物件の取得に関わる人員の増強を進めています。また業務プロセスについても見直しを行い、物件をソーシングするチーム、取得戦略を考えるチームに分けて、充分にソーシングに時間をかけられるような体制を確保しています。ソーシングにおいては単純に入札に参加するだけではなく、物件の売り手候補となるプレイヤーとの接点を増やしていくということに力を入れています。また、取得戦略においては、単純に物件の収益性を検証するだけではなく、将来物件を建て替えた際にどれだけバリューが上がるのか、ブリッジスキームを構築して日本ロジの取得価格を下げていくことができないか、追加の設備投資によって競争力を向上させられないか、などといった様々な観点から戦略を考えております。
満期を迎える契約について平均3~4%の賃料増額を目指して取り組んでおり、2021年1月期以降、継続してその目標を上回る成果が出ています。先ほど人員の話をしましたが、内部成長に関係する部門でもかなりの増員を進め、物件取得同様に業務の進め方について見直しをしたことが成果につながっているのではないかと考えています。日本ロジのポートフォリオ全体で言いますと、引き続き一桁後半パーセントの賃料ギャップがある中、1、2回の再契約交渉で賃料ギャップを解消していくイメージです。なお、市場賃料については足許、新築物件と既存物件に大きな差があるため、新築物件がけん引するかたちで既存物件の賃料は上昇しています。また、インフレへの対応として、賃貸借条件のコントロールを推進しています。再契約にあたっては賃料ギャップ、周辺の市場環境、賃料トレンドなどを見ながら交渉を行いますが、長めの契約期間であれば将来の賃料上昇も見据えて大きめの賃料増額を目指します。短めの契約期間であれば賃料増額幅としては少し小さくなりますが、その代わりに短いサイクルでの賃料増額機会を獲得することになります。また賃貸借契約においても満期の分散化を実施しており、ラダー(満期の分散状況)を見ながら再契約の戦略を考えています。加えて、CPI連動条項について、導入の難易度は高いのですが、特に長期契約の交渉にあたっては同条項を導入できるよう努力しており、複数の実績が上がっています。またテナントの退去についてですが、日本ロジの再契約率は2021年1月期から2024年1月期までで92.1%と非常に高い水準となっています。日頃からテナントの使用状況や拠点戦略をしっかりと把握して、仮に退去する兆候がある場合には早めにリーシングに取り掛かるよう取り組んでいます。
日本ロジでは公募増資を行う場合の実施基準として、1口当たり分配金の成長、1口当たりNAVの成長、インプライト・キャップレート以上の利回りでの物件取得を設けています。日本ロジは外部成長効果を主体とした1口当たりの分配金成長が実現できる増資を行いたいと考えています。そのために実施基準を満たせる投資口価格、取得物件の利回りの水準を意識し、資本コストからの逆算でしっかりとした利回りやキャッシュフローの安定性をもったパイプラインを積み上げていく発想で取り組んでいます。また、公募増資はマーケット環境に左右される部分もありますので、物件パイプラインではブリッジ機能も活用し、物件の取得時期に柔軟性を持たせています。公募増資のことを念頭に置きながらも、環境によっては手元にある現金を活用したり、減価償却費で毎期積み上がっていく現金を使用したり、物件の入れ替えなども検討しますし、投資口価格の割安水準が続くような場合は自己投資口の取得も考えていきたいと思っています。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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