今回は、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 田郷岡 成紀氏、元山 清仁氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。
(元山氏)
現時点で需給バランスが大きく崩れているエリアはありませんが、供給の増加により少し不安なエリアは出てきています。
関東エリアについて、神奈川県、埼玉県では首都圏中央連絡自動車道(以降、圏央道)沿いで、千葉県では16号以遠で積極的に開発が進んでいます。物流効率の面で有効なエリアだと考えるデベロッパーが新たに開発を進めてきましたが、蓋をあけてみると、埼玉県や千葉県の一部地域でテナント誘致(以降、リーシング)に苦戦している事例があるようです。
名古屋・中部エリアは、市街化調整区域が多く、まとまった土地の供給が少ないエリアです。しかし、最近では先進的な物流施設の建設が小牧・春日井や名古屋市内において進んでいます。弊社でも名古屋エリアで物件の再開発に取り組んでいますが、供給量は適切であると認識しています。
地方においては、賃料設定と規模感に注意が必要です。高騰する建築費や土地代を吸収するべくデベロッパーが設定した賃料目線にテナントがついてこず、成約賃料が募集賃料を下回るケースが出ています。また、規模の面では、首都圏では1社当たり5,000坪~10,000坪のニーズも狙っていけますが、地方では1社当たり2,000~3,000坪のニーズが多く、大口のテナントを誘致する前提でプロジェクトを行うと、リーシングに苦戦する可能性が高まります。
関西エリアは、湾岸や内陸ともに2016年末から供給量が大きく増える見込みで、需給の動向を注視しています。実際に、リーシングに苦戦している印象があります。
関西は、関東から遅れて先進的な物流施設が増えてきたエリアですし、長い目でみると徐々にテナントの需要が追いついてくると思いますが、一時的な供給過多が空室率上昇を招き、賃貸マーケットが悪化する懸念もあります。そうなると、デベロッパー(事業会社)は、通常より長期のフリーレントを付けはじめると思います。フリーレントは、テナントから見れば実質的な賃料の下落になります。したがって、供給が多い状況では一層の賃料下落を期待して新規施設に入居する意思決定を先送りするという悪循環が起こり得ます。
(元山氏)
箱崎や香椎浜の湾岸と福岡ICや空港周辺の内陸エリアには投資したいと思っています。
一方、鳥栖エリアはテナントのニーズが弱くなってきたと感じています。一時期、大規模な開発があり、九州自動車道、大分自動車道、佐賀自動車道の結節点としてマクロ的な立地では高い評価がされていました。しかし、最近では、物流のルート効率を考えて結局福岡市内に戻りたいというテナントの声が聞こえてきています。
(元山氏)
単純に二者択一ということではありません。総合的な判断をすることになります。低めの賃料設定が、テナントによる鳥栖の拠点開設に繋がったのは事実です。しかし今では、テナントは労働力確保のために賃金を上げる必要もありますし、ルート効率の問題も浮上し、テナントの賃料負担力は伸びていません。その結果として、鳥栖から福岡市近郊へのテナント移転が進む可能性があるということです。
余談ですが、鳥栖エリアの地盤ですと建物の基礎となる杭を深く打ち込む必要があり、これもコスト増の一因になっています。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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