FISCO REIT REPORT
物流事業・物流不動産業界から見回すと、現在の日本経済全体においては、人口減少の影響から荷量は大きく伸長しているわけではない。しかし、荷物の回転は間違いなく上がっていると言える。これまではBtoBで鉄鋼を1トン運ぶというのが物流の主体であった。現在はEC市場の拡大によりBtoC、CtoCの小口配送ニーズが増大し、荷物の総量は変わらなくても、物流量自体は相当増えていると言える。故に物流不動産の床面積に対するニーズは非常に強まっている。
また、物流事業のそもそもの観点で言うと、非常にポジティブな点としては、値上げによってトップラインが伸びていること。コスト吸収を凌駕して利益率の向上を見据えた値上げが、物流施設のテナントユーザーである物流会社において実施されていることにある。一方で、ドライバー不足や雇用の難しさ、働き方改革によって残業をさせられない等の諸問題があるため、順風とまではいかないが、P/L上は極めて良好である。
現在、大手物流会社では、好立地かつ使い勝手の良い物流施設の奪い合いが始まっている。トラックのルート1つをとっても、燃料費やドライバーの残業代、車輛費に直結するため、好立地かつ作業が効率的にできる物件については、需要が多く寄せられ、賃料の値上げがしやすい。こういった施設は、賃料の値上げを受け入れた上でも借りたいという状況である。売上原価に占める倉庫賃料の割合は10%未満にとどまっているため、人件費等他の原価に比べてその割合は小さい。賃料が10%上がったとしても、総コストは1%程度しか上がらない。それよりも、好立地によって残業代が減らせる、ドライバーの数を減らせる、燃料費をカットできる等、残りの9割の原価を3~5%でも減らせればトータルのコストは減らせる。そのため、多少賃料を負担したとしても好立地でルートを効率化できる立地、人手・残業代を減らせることができる立地やスペックを備えた施設を借りる必要がある状況である。
ドライバー不足、庫内従業員の確保、燃料価格の上昇により拠点戦略の需要性がますます高まるなか、CREによって開発された、テナントニーズを満たすために必要とされる、立地、基本仕様、拡張性及び快適性を備えた施設である「ロジスクエア」に重点を置いたポートフォリオによって、同投資法人に対する成長性が見込まれることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬 智一)
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