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マーケットコラム

さくら総合リート投資法人と投資法人みらいが合併契約を締結/アイビー総研 関 大介

2019-08-09

関 大介

1. 投資法人みらいとの合併契約の内容

さくら総合リート投資法人の合併に向けた動きが大詰めにさしかかってきた。

本合併は、5月10日にスターアジア不動産投資法人(スターアジアREIT)のスポンサーであるスターアジアグループ(SAG)がさくら総合リートに対して敵対的買収提案を行ったことから始まった。
さくら総合リートは、対抗策として7月19日に投資法人みらいとの合併に関する基本合意書を締結。8月5日にみらいとの合併契約締結と合併条件(※1)を公表した。
合併条件の概要は、みらいとさくら総合リートの合併比率を1:1.67とし、11月1日にみらいを存続投資法人とするもの。
合併後のみらいの1口当たり分配金は、2020年4月期(第8期)に1,600円、2020年10月期(第9期)に1,640円(※1)としている。
さくら総合リートの2019年12月期の1口当たり予想分配金は2,427円であるが、合併後のみらいの第8期と第9期の分配金をそれぞれ1.67倍する(※2)と2,672円、2,738円となる。
この点で見れば、さくら総合リートの投資家にとって合併後の分配金は増加することになる。

なお、本合併では資産運用会社の合併は予定されていない。言い換えれば、さくら総合リートのスポンサーはREIT市場から撤退するという「対価」を払って、敵対的買収ではなく合意された合併を選んだ形になっている。



2. スターアジア不動産投資法人との合併提案の内容

上記の合併条件の提示を受けて、SAG 側は8月7日に想定合併比率を公表した(※3)。さくら総合リートから見れば、SAG側は敵対的買収となっているため、両社は合併のための協議を行っていない。
従って外部専門家(一般的には証券会社が行う)ではなく、あくまでもSAG側が試算した数値ベースでの合併比率である。
具体的にはスターアジアREITとさくら総合リートの想定合併比率を1:0.88以上としている。また合併後のスターアジアREITの予想分配金を2,886円としているため、想定合併比率である0.88倍以上から算定すると2,539円以上(※3)となる。
この点では、スターアジアREITとの合併でもさくら総合リートの投資家の分配金は増加することになる。

また単純に8月7日時点の価格をベースとすれば、SAG側の方がさくら総合リートの資産を高く評価していることになる。
具体的には、さくら総合リートの価格は、スターアジアREITの価格114,700円から想定合併比率の0.88倍以上とすると100,936円以上となるが、みらいTの価格57,300円を合併比率の1.67倍しても95,691円にしかならない。
但し、この差異は計算式で示した通り、今後の価格次第で変化することになる。例えばスターアジアREITの価格が変化せず、みらいの価格が60,440円まで上昇した場合には、さくら総合リートに対する評価額は同程度となる。

さくら総合リートがどちらの投資法人と合併することになるかは、8月30日に開催される投資主総会でその帰趨が決まることになる。
次回のコラムでは、それぞれの合併提案内容について留意すべき点を記載する予定。


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(※1)2019年8月5日付「投資法人みらい及びさくら総合リート投資法人の合併契約締結に関するお知らせ」、「投資法人みらい及びさくら総合リート投資法人の合併後の2020年4月期及び2020年10月期の運用状況及び分配金の予想に関するお知らせ」に拠る。

(※2)端数投資口は、合併後に投資法人側によって売却され投資家に払い戻されるため、さくらREITの投資家が合併後の分配金として受け取れる金額は保有投資口数によって異なる。

(※3)2019年8月7日付「スターアジアグループによる「さくら総合リート投資法人とスターアジア不動産投資法人との合併に向けたご提案―合併比率の考え方―」に関するお知らせ」、「本日付公表の適時開示に関する補足説明資料」に拠る。

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