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マーケットコラム

REITの行方/REITアナリスト 山崎成人

2009-05-15

REITアナリスト 山崎成人


 東証REIT指数(配当なし)とTOPIX1000の過去の動きを追ってみるといろいろな事が見えてきます。


<成長期>
2006年まではREITの投資口価格は穏やかに推移していて、上限1,500~1,700台の間で動いていましたから、3年間の単純平均では年率25%程度の上昇で収まっていました。
2003年3月31日時点の上場銘柄数は6銘柄で、2006年末時点では40銘柄まで拡大しましたから、新商品の市場規模の拡大による評価上昇と考えれば許容範囲ではないかと思われます。
一方、TOPIX1000で株式の動きを追ってみると、2005年7月までは小さな上下を繰り返しつつも比較的穏やかな動きで推移し ていました。


<バブル期>
2006年12月から投資口価格が大きく上昇を始めて、ピークの2007年5月末での半年間で約42%上昇しましたから、この期間がREITのバブルだったと言えますが、株式の方も2005年8月から上昇し始めて、2007年7月にピークアウトしています。
なお、東証一部の不動産指数もこの時期は大きく上昇していますので、不動産全体にわたるバブルであったとも言えます。


<調整期>
2007年6月からピークアウトして下落に転じましたが、バブル期間を除いて考えれば、2008年2月までは調整と見ることが出来ますが、2007年7月からは東証REIT指数とTOPIX1000の波の形の相似形となり、株式と全く同じ推移を見せるようになった点が注目です。


<急落期>
REITは2008年8月から、そして株式は同年9月から急落を始め、2008年10月6日には両者とも1000ポイントを下回りました。
そして、この時点からREITと株式は完全に一致した動きを見せるようになり、両者の特性の違いは捨象されています。
即ち、REITの過去の推移をみると、 REITのバブル(2006/12~2007/05)はREITと株式の不動産セクターに現れた固有の現象ですが、調整期から急落期は 株式と同じ動きを見せるようになり、マクロ経済の影響に晒されていると言えます。
この事から、投資口価格形成の合理性は別としても、REITの復活はマクロ経済動向次第だと考えることが出来ますので、これ以上は悪化しないであろうと思われるようになった時点からREITの真価が試されます。
株式は、例え景気が底入れしても直ちに反転はしませんが、REITはインカムゲイン商品ですので、底入れした時点で予想配当率によって投資口価格形成されるようになると考えられます。

従って、投資家にとって重要なポイントは、景気の底入れ時期の見通しと、個別銘柄の強弱の判断になります。
常識的に考えれば、比較的安定した配当を出す銘柄の予想配当率が10%前後/年というのは評価が低すぎますから、このような配当率になっている銘柄の中から、単独で存続出来る銘柄を選び出せればREIT投資のメリットがありそうです。
「そんな事は分かっている、問題はどの銘柄なのか・・・」という投資家も多いと思いますが、ここからは推測による予想の世界です。
上場41銘柄をこの視点で分類し、ランキングするデータがあれば良いのですが、今のところ見当たりませんので、その内に個人的に作ってみようかと思っています。


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