FISCO REIT REPORT
平和不動産リート投資法人は、平和不動産グループの投資法人であり、「東京都区部を中心とする投資エリアに存するオフィス及びレジデンス(賃貸ンマンション)」に投資する複合型REITだ。同REITの決算期は5月と11月の年2回である。
1. 東京都区部に集中投資、平和不動産のサポートが大きな強み
中小規模の事業所数が多く、また人口増加傾向も続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資している。また、全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、不動産開発、宅地分譲やマンション分譲、ショッピングセンターなどのデベロッパー事業を幅広く展開する平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。加えて、2017年11月期末に、一時差異等調整積立金残高(分配金支払後)1,906百万円、繰越欠損金残高4,450百万円を有することが、将来の安定的な分配金支払いを可能にしている。
2. 2017年11月期の分配金は4期連続でスポンサー変更後の最高値を更新
2017年11月期は、営業収益5,881百万円(前期比0.9%増)、営業利益2,557百万円(同1.4%増)、経常利益2,048百万円(同2.0%増)、当期純利益1,904百万円(同5.1%減)であった。当期純利益の減少は、翌期初に売却した物件に関する減損損失を計上したためである。ただし、実力ベースの分配金を支払う方針から、一時差異等調整積立金から取り崩しを行い、分配金は2,054円/口と前期比37円増で、4期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。
3. 2018年5月期、2018年11月期も分配金の持続的成長を予想
2018年5月期は、営業収益5,931百万円(前期比0.8%増)、営業利益2,556百万円(同0.0%減)、経常利益2,071百万円(同1.1%増)、当期純利益2,070百万円(同8.7%増)、2018年11月期も、営業収益5,916百万円(前期比0.2%減)、営業利益2,564百万円(同0.3%増)、経常利益2,091百万円(同1.0%増)、当期純利益2,091百万円(同1.0%増)を予想する。外部成長戦略では、優良物件への厳選投資及び資産の入替を今後も推進する。また、内部成長戦略では、オフィスでは稼働率の高位安定及び賃料の増額改定の進展を見込む一方、レジデンスでは2018年5月期は3月−4月を含む繁忙期のため、稼働率及び収支改善を期待する。さらに、財務戦略では金融費用の継続的な削減に取り組む。以上により、分配金は2,080円(前期比26円増)、2,100円(同20円増)と、更なる増加を予想している。
4. 運用資産の着実な成長と中長期的な安定収益の確保により、分配金2,250円、資産規模2,000億円を目指す
中期目標として分配金2,250円、資産規模2,000億円を掲げる。分配金の目標達成に向けては、資産の入替、賃料増額改定、諸費用の削減等を1つ1つ着実に積み重ねていくことで、継続的かつスピード感を持った分配金成長につなげる。一方、資産規模の拡大については、現在は不動産価格が高騰しているため無理に新規取得をせず、入れ替えを中心に優良物件に投資する方針である。
5. 入替戦略の推進に伴い、NAV倍率は上昇するとみる
他のオフィス・レジデンス複合型REITと比較すると、2018年2月5日現在のNAV倍率(1口当たり投資口価格/1口当たり純資産額)は0.89倍にとどまり、平均1.02倍に比べて低い評価にとどまる。ただし、入替戦略の推進、賃料増額改定、キャップレートの低下などに伴い含み益は成長を続けており、今後も分配金の増加が持続すると見込まれることから、投資家の評価も徐々に切り上がると予想する。
■Key Points
・東京都区部を中心とするオフィス・レジデンス複合型REITで、平和不動産のサポートが大きな強み。
・2017年11月期は減損損失を一時差異等調整積立金の取り崩しでカバーし、分配金は4期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。
・2018年5月期、2018年11月期も分配金の更なる増加を予想する。
・運用資産の着実な成長と中長期的な安定収益の確保により、分配金2,250円、資産規模2,000億円を目指す。
・継続的な入替戦略の推進に伴い、投資家の評価も上昇するとみる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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