FISCO REIT REPORT
1. 不動産マネジメント大手のザイマックスグループのサポートが大きな強み
ザイマックス・リート投資法人は、不動産マネジメント大手の(株)ザイマックス(非上場)を中心としたザイマックスグループをスポンサーとし、東京23区や周辺県を中心に、オフィス、商業施設、ホテル等に投資をしている総合型REITである。同投資法人は、国内有数の不動産マネジメント実績を誇るザイマックスグループが有する不動産の知見・ノウハウを活用した適切なポートフォリオ運営により、不動産が持つ価値を最大限に引き出し、投資主価値の最大化を図ることを目指している。実際の資産運用はすべて(株)ザイマックス不動産投資顧問に委託しており、ザイマックスグループから様々なサポートを得られるのが大きな強みである。
2. 2022年8月期の業績は、大幅な増収増益で期初予想を上回る
同投資法人の2022年8月期の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が落ち着きを見せ、個人消費の回復の影響もあって実質GDP成長率が増加し、また不動産向け貸出残高も高水準で推移するなど、わが国経済に回復基調が見られたなか、期初予想を上回る好決算であった。営業収益1,874百万円(前期比16.3%増)、営業利益1,121百万円(同18.5%増)と大幅な増収増益で、 期初予想比では営業収益は2.7%、営業利益も3.2%上回って着地した。2022年3月に上場後初となる公募増資を実施し、ポートフォリオが18物件・434億円(取得価格ベース)に拡大したことが、増収増益に大きく貢献した。また、保有物件の運営は堅調に推移し、増収増益の原動力になった。ポートフォリオを用途別に見ると、オフィスは安定的な運営によって⾼稼働率を維持し、商業施設は固定賃料契約をベースに安定的な収益を計上したうえ、営業成績が低迷していたホテルも変動賃料の発生に伴い、コロナ禍において最高の成績となった。好決算と公募に伴う投資口数の増加に基づき、分配金も4,019円/口(同123円増)で期初予想を152円上回った。2022年8月期末の財政状態は、総資産LTV※(以下、LTV)が41.0%と低く、50%までの借入れ余力は大きい。メガバンク・地方銀行等を中心に、幅広く安定的なレンダーフォーメーションを構築しており、さらに2022年6月にはR&Iより発行体格付「A-」を取得し、将来の機動的な物件取得が可能となっている。
※総資産LTV:有利子負債残高÷総資産
3. 2023年2月期、2023年8月期は、保守的な前提で予想
同投資法人では、2023年2月期の業績について、営業収益1,635百万円(前期比12.8%減)、営業利益888百万円(同20.8%減)と、減収減益を予想する。これは、前期まで計上していた不動産売却益の剥落が主因である。また、ホテルの変動賃料の計算ロジックの変更に伴う変動賃料の減少も影響しているが、2023年8月期以降は徐々に増加する見込みだ。2023年8月期は、営業収益1,646百万円(同0.7%増)、営業利益852百万円(同4.0%減)と、おおむね横ばいを予想する。以上の業績予想に基づき、2023年2月期の分配金は3,120円/口(前期比899円減)、2023年8月期も3,058円/口(同62円減)を予想する。ただ、弊社では、期初予想は従来と同様に保守的な予想であると見ている。
4. オフィス、商業施設などの外部成長により、投資主価値の向上を目指す
今後の外部成長戦略としては、スポンサー・サポート契約に基づき、ザイマックスグループの顧客基盤から得られる不動産売却ニーズを捕捉し、同投資法人の物件取得機会につなげることを目指す。オフィスの成長戦略では、都心8区、名古屋中心部、大阪中心部、福岡中心部に所在し、最寄駅からおおむね徒歩5分圏内の駅近で、1坪当たり賃料単価1~2万円台の、テナントニーズが豊富な物件を中心に取得する方針だ。商業施設では、テナント賃料の安定性または物件価格の安さに着目して取得する計画である。ホテルでは、交通結節点へのアクセスが良好なエリアにあり、訪日外国人の増加が見込まれるエリアに所在する物件を取得する計画だが、当面は現有ホテルの収益回復が最優先課題と言えるだろう。また、同投資法人では、環境認証を取得し、保有物件の環境・省エネ対策やエネルギー利用の効率化を推進するなど、ESG(Environment、Social、Governance)にも熱心に取り組んでいることが特筆される。
5. 外部成長の強化に伴い、投資家の評価は高まると予想
同投資法人の投資口価格は、2022年に入り東証REIT指数の上昇を上回るパフォーマンスを見せている。2022年2月期、2022年8月期の分配金が、期初予想を大きく上回る増配予想に修正されたことが好感されたようだ。一方、時価総額が小さく、流動性も低いことなどが課題である。2022年10月28日現在の同投資法人のNAV倍率(投資口価格/1口当たりNAV)は0.85倍と、総合型リート平均の0.98倍を下回っており、引き続き割安感が強い。また、分配金利回りは5.06%と平均の4.36%を大きく上回る。同投資法人では、今後も外部成長戦略を強化する方針であり、投資家の理解が深まるに伴い、魅力的な水準の分配金利回りを提供する同投資法人が注目されると弊社では考えている。
■Key Points
・東京23区や周辺県を中心に、オフィス、商業施設、ホテルなどに投資をする総合型REITで、ザイマックスグループのサポートが大きな強み
・2022年8月期は大幅増収増益で、期初予想を上回って着地。ポートフォリオが拡大し、保有物件の運用が堅調なことが貢献。分配金も4,019円/口で、期初予想を超過。LTVが低く、将来の機動的な物件取得が可能
・2023年2月期は不動産売却益の剥落の影響で減収減益、2023年8月期はおおむね横ばいの業績予想。分配金は2023年2月期3,120円/口、2023年8月期3,058円/口への減配を見込む。予想は従来と同様に、保守的な前提に立っていると見る
・外部成長戦略としては、オフィスでは、大都市圏にあり、駅近で賃料単価が手ごろ、テナントニーズが豊富な物件を取得。商業施設では、テナント賃料の安定性や物件価格の安さに着目して取得。ホテルでは、アクセスが良好で、訪日外国人の増加が見込まれる物件を取得する計画だが、当面は収益回復が最優先。ESGにも熱心に取り組む
・最近の投資口価格のパフォーマンスは大幅増配が好感されて市場平均を上回るが、総合型REIT平均に比べて十分な評価を受けていない。ただ、外部成長戦略を強化する方針が投資家に理解されるに伴い、魅力的な分配金利回りを提供する同投資法人が注目されると見る
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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