2021年11月期(第40期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2022年1月18日に開示されたた平和不動産リート投資法人(以下HFR)の40期(2021年10月期)決算説明会資料です。
資産運用会社は、平和不動産株式会社の100%子会社である平和不動産アセットマネジメント株式会社にて、HFRは2005年3月に上場しており、2010年10月にはジャパン・シングルレジデンス投資法人と合併しております。
HFRは、オフィスビル、レジデンスに投資する。例外的資産として、オフィスビル及びレジデンスの底地に投資することがある。投資地域は、東京23区を中心に東京・神奈川・埼玉・千葉の主要都市、及び仙台・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡等の地方主要都市。
オフィスビル賃貸マーケット
三鬼商事株式会社の最新オフィスビル市況によれば、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビルの平均空室率は、コロナ禍におけるテレワークの拡大や企業の先行き懸念による館内縮小や集約等に伴うテナントの解約の動きもあったが、拡張移転等による成約の動きも見られたことから上昇ベースは鈍化しつつあり、前期末(2021年5月末)の5.90%から当期末(2021年11月末)には6.35%と 微増となった。一方、平均賃料については、2020年8月以降16ヵ月連続で下落となり、前期末の21,249円/坪から当期末には20,686円/坪となった。新型コロナウイルス感染症のオフィスビル市況へ及ぼす影響は今なお大きなものがあるが、昨秋頃から空室率の増加は収まる傾向も見せており、併せて、テナント側においてはコロナ禍を契機としてオフィス戦 略を見直す前向きな動きも増え、テナントの規模縮小、経費節減等を理由とする解約の懸念は縮小しつつあるものと思われる。本投資法人の運用資産における稼働率は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けるも影響は限定的であり、依然として高水準を維持している。
レジデンス賃貸マーケット
アットホーム株式会社によれば、2021年11月の全国主要都市(首都圏1都3県、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市の9エリア)のマンション平均募集家賃は、東京23区の50㎡以下の面積帯で下落基調が継続していたが、70㎡超の面積帯では上昇傾向が続き、東京23区・東京都下・埼玉県・千葉県・大阪市において 2015年1月以降最高値を更新した。また、2021年11月の「建築着工統計調査報告」によると新設住宅着 工戸数(貸家)は、2021年2月まで30ヵ月連続で減少傾向が続いていたが、2021年3月には増加に転じ9ヵ月連続で増加した。前期に引き続き供給は落ち着いており、需給動向は安定的に推移したが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い入居数が減少しており、賃貸住宅の需要はやや弱含んだ状況がみられる。本投資法人の運用資産における稼働率は各種施策を講じたことで期中において安定的に推移した。また、景況悪化による影響は限定的であり、短期的な運営への影響は軽微と考えている。
不動産市況
2021年9月に発表された2021年7月1日時点の都道府県地価調査においては、東京圏、大阪圏及び名古屋圏の三大都市圏の全用途平均は横ばいから上昇に転じた。その内訳として、住宅地は下落から横ばいに、商業地は9年連続の上昇となったが上昇率が縮小した。一方で地方圏(三大都市圏を除く地域をいう。)については、住宅地の下落は継続しているものの下落率は縮小し、商業地は2年連続の下落となり下落率が拡大した。本投資法人が投資対象と考えている地方における政令指定都市についても、住宅地、商業地ともに上昇幅の縮小又は下落が継続しており、弱含んだ状況がみられる。新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、下落の継続となったと見られるが、事態は長期化しており今後も不動産市況の動向を注視していく必要があると思われる。
2021年6月4日付でオフィス1物件(Of-47 大崎CNビル(信託受益権、取得価格51.6億円))及びレジデンス3物件(Re-95 HF正光寺赤羽レジデンスⅡ(不動産、取得価格:16.9億円)、Re-96 HF八広レジデンス(不動産、取得価格:12.2億円)、Re-97 HF世田谷上町レジデンス(不動産、取得価格:7億円))を取得した。また、2021年9月29日付でレジデンス1物件(Re-98 HF草加レジデンス(不動産、取得価格:13億円)、2021年10月29日付でオフィス1物件(Of-48 ファーレイーストビル(不動産、取得価格:10.1億円))を取得し、2021年11月29日付でレジデンス1物件(Re-67 HF九大病院前 レジデンス(信託受益権、取得価格:4.26億円))を売却した。
この結果、当期末時点での運用資産は、オフィス35物件(取得価格の合計:891億円)、レジデンス79 物件(取得価格の合計:1,057億円)の合計114物件(取得価格の合計:1,948億円)となっている。
本投資法人は、従来から稼働率の維持向上に注力することにより、収益の向上に努めて参ったが、当期においても、空室期間の短縮化に努めたテナントリーシング活動及びテナントニーズや物件毎の特性を踏まえた計画的なバリューアップ投資に取り組んだ。こうした取組みによって物件の競争力の維持向上に努めた成果もあり、全運用資産合計の稼働率は、当期末時点で97.7%となり、前期末時点の97.4%から期中を通じて高稼働で安定的に推移させることができ、期中月末平均稼働率は97.3%と高水準となった。 また、環境・省エネルギーへの配慮及び地域社会への貢献等を中心としてESGへの取り組みを推進している。
本投資法人は、物件の取得資金等に充当することを目的として、2021年6月に公募増資(発行投資口数:53,100口、発行価額の総額:8,272,077千円)及び第三者割当増資(発行投資口数: 2,700口、発行価額の総額: 420,614千円)による資金調達、2021年6月にタームローン52(借入金額:4億円)、2021年9月にタームローン53(借入金額:13.9億円)、2021年10月29日付でタームローン54(借入金額:10億円)の借入れを行った。また、2021年10月に元本返済期日を迎えたタームローン23トランシェB(借入残高:8億円)、タームローン26 トランシェB(借入残高:4.8億円)、タームローン28 トランシェA(借入残高:9.4億円)、タームローン29 トランシェB (借入残高:14億円)、タームローン40 トランシェA(借入残高:24億円)の返済資金に充当するため、同日付でタームローン55(トランシェA(借入金額:4.8億円)、トランシェB(借入金額: 7.8億円)、トランシェC(借入金額:9億円)、トランシェD(借入金額:38.6億円))の借入れを行った。
これらにより償還期限の分散化(11月末時点の平均借入期間: 7.1年、平均残存期間:4.0年)を図る一方で、借入コストの低減(11月末時点の平均借入金利:0.74%)を図ることができた。
その結果、当期末時点での有利子負債額は、908億円(期末総資産有利子負債比率:44.71%)となった。
主要指標(決算説明資料より抜粋)
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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