2021年10月期(第33期)決算説明会資料
今回取り上げるのは、2021年12月14日に開示されたケネディクス・オフィス投資法人(以下KDO)の33期(2021年10月期)決算説明会資料です。
KDOの資産運用会社は、ケネディクスグループのケネディクス不動産投資顧問株式会社。KDOは、2005年7月に上場しています。
1.中規模オフィスビル中心
KDOは、「中規模オフィスビルを中心とした強固なポートフォリオを構築すること」を目標として、「中規模オフィスビルのNo.1 J-REIT」となるべく、資産の拡大を目指している。重点的に投資する中規模オフィスビルとは、建物規模による投資基準「延床面積1,000㎡以上、基準階占有面積150㎡以上」に相当する別件であり、都心5区における投資法人の保有物件では延床面積500坪から3,000坪の物件が大半を占める。
中規模オフィスビル80%以上を投資することを目標とするほか、大規模オフィスビルを含む中規模オフィスビルに該当しないオフィスビル等についても20%以下の範囲で取得してゆくことを目標とすることで、ポートフォリオの安定化を目指している。
中規模オフィスビル市場の特徴と魅力は、
①大規模オフィスビルに比べ物件数が多いことから、潜在的な売買対象物件が相対的に多い。
②物件の売買価格が10億円から100億円程度の水準であることから、大規模オフィスビルに比べ取引参加者が多く、相対的に売買が活発であるため流動性が高い。
③入居テナントの典型例を1フロアの専有面積100坪から150坪前後を利用する従業員30名程度の企業として捉えており、厚みのあるテナント層による比較的安定した賃料収入が見込める。
2.東京経済圏中心
経済活動が高密度に集積し、テナント需要が最も厚いマーケットと見込まれる東京経済圏に所在する中規模オフィスビルを中心とした優良物件で、安定性の高いポートフォリオの構築を目指している。また、一定程度の資産を地方経済圏に保有することで、立地条件、テナント構成の分散を図っている。
オフィスビル賃貸市場については、コロナ禍におけるリモートワーク拡大や企業の先行き懸念による固定費見直し等の理由から減床・縮小等がみられるようになった。三鬼商事株式会社が公表した2021年10月末時点の東京都心5区の平均空室率は6.47%で、前年比で2.54ポイント上昇、前期末(2021年4月30日)時点との比較では0.82ポイント上昇した。また、東京都心5区の平均賃料(新築を含む。)については、2014年1月以降上昇し続けてきたが、2020年7月を境に低下に転じ、2021年10月末時点では20,804円(一坪当たり) となった。その他全国の主要都市については、平均空室率の上昇が確認され、賃料水準は多少の低下が見られるものの、概ね横ばいで推移している。
オフィスビルの売買市場については、新型コロナウイルス感染症拡大により、上場不動産投資法人(J-REIT)や不動産会社等国内投資家や海外投資家による物件売買件数は減少しているものの、優良な中規模オフィスビルの売却情報は引き続き少なく、限られた売却案件に投資家が集中していること、金利動向も低位安定が継続していることから、期待利回りは低水準で推移しており大きな変化は見られない。
当期における物件の移動はない。
当期末現在のポートフォリオ(匿名組合出資持分を除く)は、合計96物件(取得価格の総額4,401億円)となり、取得価格に基づく用途毎の割合は、オフィス ビル99.3%、その他0.7%となっている。
保有資産の運営管理状況
当期末現在保有する全ての物件(アーク森ビル、新宿6丁目ビル(底地)を除く。)について、プロパティマネジメント業務をケネディクス・プロパティ・デザイン株式会社に委託している。これによって、物件運営管理における方針や仕様、手続、窓口等を一元化し、迅速 かつ良質なサービスの提供を図ってきた。
リーシング面においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けながらも、仲介業者との親密なリレーションによる積極的な新規テナントの誘致や、既存テナントとの良好な関係を活かした増床ニーズの取り込みを行った。また、オフィスビルの競争力維持・向上を図るべく、専有部照明器具のLED化、外壁の改修、 空調設備・エレベーターの更新等も計画的に実施している。
その結果、本投資法人の保有するオフィスビルの稼働率は、当期末現在において、東京経済圏のオフィスビルで97.6%となり、オフィスビル全体では97.6%になった。
テナント数及びテナント業種の分散による安定的な運用
本投資法人の保有するオフィスビルのエンドテナントの数は、当期末現在、1,106件であり、テナント分散が進んでいる。また、ポートフォリオ全体に係る賃貸面積の合計に占めるオフィスビル上位10エンドテナントの賃貸面積割合は10.7%。更に、本投資法人が保有するオフィスビルには、様々な業種のテナントが入居していることから、本投資法人の収益は特定のエンドテナントの退去や、特定の業種における業績の低迷による影響を受けにくく、安定した収益を継続して得ることができると考えている。
投資法人債の状況
本投資法人は2021年7月28日に第3回無担保投資法人債(発行総額20百万億円、期間5.0年)を発行し、2021年7月30日付で返済した借入金の返済資金に充当した。
この結果、当期末現在で投資法人債残高は130億円となっている。
借入の状況
本投資法人は、有利子負債の返済期限を分散することにより、リファイナンスリスクを軽減することを目指している。当期においては期中に返済期日が到来した借入金123億円の返済資金として同額の借入れを行った。また、2021年7月30日には第13回無担保投資法人債及び借入金を返済原資として総額30億円の期限前弁済を行っている。
その結果、当期末現在で借入金残高は1,857億円(短期借入金106億円、 長期借入金1,751億円)、投資法人債残高は130億円、有利子負債残高は1,987億円となっている。
有利子負債全体では、長期負債比率は94.7%、長期固定化負債比率は94.7%、有利子負債の平均残存年数は4.4年となり、当期末の平均金利は0.89%に、有利子負債比率は43.6%となっている。
主要指標(決算説明資料より抜粋)
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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