2019年2月期(第34期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2019年4月16日に開示された日本リテールファンド投資法人(以下JRF)の第34期(2019年2月期)決算説明会資料です。
JRFの資産運用会社は、三菱商事UBSリアルティ株式会社(出資比率:三菱商事51%、UBS49%)にて、2002年3月上場した日本初の商業施設不動産の運用に特化した投資法人です。
設立当初は、三菱商事と親密であったイオングループの運営する施設への投資が目立ちましたが、33期決算説明会資料にて披露された『新たな中期戦略(後記)』や三菱商事とイオングループの包括的業務提携の解消などにより、ポートフォリオ戦略に大きな動きが見え始めています。
Ⅰ.基本方針
取り巻く環境を見据え、「人が集まる立地」であり、JRFの持つ「人を集める力」を発揮できる都市型資産にフォーカスする。
1.背景 ①都市部への人口集中、➁インバウンド消費は都市部が中心、③Eコマースの影響は郊外部で受けやすい、④余暇時間の増加に伴う時間消費ニーズが都市部で拡大。
2.都市型資産の成長予測 ①テナント出店ニーズが増加、➁見せる場としての利用価値が上昇、③多種多様な用途利用が加速。
Ⅱ.新たなポートフォリオ区分を再定義
都市型資産へのフォーカスを進める中、ポートフォーリオ区分を、「コア(プライム・ターミナル駅前・住宅地駅前)」「準コア(郊外モール・バリューアッド)」「サブ(GMS/ロードサイド)」と分別し、「コア」を都市型資産と定義。
Ⅲ.目標
「脱GMS」を中心とするサブ資産の売却とコア資産の取得による資産の入替えをすすめ、コア資産比率80%(約1,000億円の資産入替)を目指す。
1.財務安定性確保のための取組み
①金融環境悪化時においても、安定した経営を継続できる強固な財務基盤の構築
➁機動的なポートフォリオ・マネジメント実施のための財務柔軟性の確保
③高い信用力を維持することによる、競争力のあるコストでの負債調達
2.LTVは、45~55%を目安
3.投資主還元策の一つとして、自己投資口の取得及び償却を行うことを検討。(NAV倍率0.9倍前後が目安)
4.グリーンボンドの発行を検討
1.投資環境
堅調な企業業績や雇用環境・所得環境の改善を背景として、内需が全体の成長率を押し上げた一方で、外需は中国経済の鈍化によりマイナスになるなど、これまで好調に推移してきた企業業績の先行きにも注意が必要となっている。小売りセクター動向は持ち直しの動きも見られ、2019年10月に予定されている消費税増税を見越した駆け込み需要による増加も出てきており、増税後も一時的には駆け込み需要の反動減があるものの、軽減税率の適用により、前回増税時ほどのインパクトにはならないとの予測もあり、消費は堅調に推移すると考えられている。また、2018年の訪日外国人客数は3,000万人を突破し過去最高となったほか、訪日外国人による旅行消費額も過去最高を記録している。
2.外部成長
コア資産3物件(Gビル南青山03・Gビル神宮前08・ラウンドワンスタジアム川崎大師店)170.6億円相当の物件を取得。これにより、当期末運用資産は101物件、取得価格の総額は9,057億円となった。
売却確定資産は、サブ資産2物件(大阪心斎橋8953ビル・イオン仙台中山)合計売却額248.2億円(売却益38.6億円)。当資産の売却により、上場時に保有していた4物件は全て入れ替わる。2016年2月期(28期)以降ノンコア資産の譲渡は顕著で、13件(うちイオングループ物件8件)のGMSが売却されている。(売却確定分を含む)
3.内部成長
既存物件の価値向上策の一環として、川崎ルフロンの大規模リニューアルに取り組んでおり、メインテナントとして水族館を誘致する等、2019年4月以降、段階的なリニューアルオープンを予定している。保有資産の当期末稼働率については、98.8%と川崎ルフロンのリニューアル等の影響により一時的に低下しているが、引続き高水準の稼働率を維持している。
4.含み益について
ポートフォリオ全体の含み益は、前期より約78億円増えて1,569億円となった。キャップレートの内訳については、中期ポートフォリオ戦略が示している通り、都市型資産のキャップレートが低下している一方、サブ資産については現状維持となっている。
主要指標(決算説明資料より抜粋)
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
---|---|---|
2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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