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2018年10月25日

KYB免震・制振装置不正のJ-REITへの影響広がる

10月22日~24日のニュース概観

(写真/iStock)

市場・経済全般

貿易戦争に伴う米中景気の減速懸念、イタリア財政不安等を背景に不安定な動きの続いた日本株だが、対照的にJ-REITの投資口価格は落ち着いた値動きとなった。
値動きの激しさを示すヒストリカル・ボラティリティを見ると、10月1日~24日のTOPIXが約19.4%であるのに対し、同期間の東証J-REIT指数は約8.6%で2分の1以下の水準である。
大まかな要因としては、外需に敏感な企業の多い株式と内需に拠るJ-REIT、外国人投資家のプレゼンスが大きい株式と金融機関や投資信託といった国内投資家のプレゼンスが大きいJ-REITという違いが考えられるが、何はともあれ、ハイリスクな株式に対してミドルリスクのJ-REITの良さが目立つ展開となった。

不動産・J-REIT関連

10月22日、日銀が金融システムレポート2018年10月号を公表した。
その中で不動産に関連する記述を見ていくと、金融機関の不動産業向け貸出残高は2018年6月末時点で約77兆円と過去最高水準を維持しているものの、貸出の新規実行額は前年比でマイナスが続いており、ゆっくりとではあるものの、金融機関の貸出姿勢が変化しつつあることが窺える。
金融活動指標(ヒートマップ)で不動産の状況を確認すると適温状態を示す「緑」を維持してはいるものの、不動産業向け貸出残高の対GDP比率については過熱を示す「赤」に近接する動きが見られると指摘している。
総じて前号、前々号に比べてタカ派的なトーンが強まった印象である。

先週のニュース概観でも取り上げたが、油圧システム製品大手のKYB株式会社(以下、KYB)とその子会社が免震・制振用オイルダンバーの性能検査データを改竄して所定の性能基準に達していない免震・制振用オイルダンバーを多数出荷・販売していたことが明らかとなった。
これにより、現在も多くのJ-REITが保有物件に当該免震・制振用オイルダンバーを使用していないかの確認に追われている。 24日までに各J-REITが出したリリース、情報発表をまとめると、以下のような状況である(並び順はリリース開示順)。

<保有物件での不適合品使用なし>
 ・平和不動産リート投資法人
 ・大和証券オフィス投資法人
 ・日本ヘルスケア投資法人
 ・日本賃貸住宅投資法人
 ・ジャパンエクセレント投資法人
 ・野村不動産マスターファンド投資法人
 ・産業ファンド投資法人
 ・タカラレーベン不動産投資法人
 ・トーセイ・リート投資法人
 ・マリモ地方創生リート投資法人
 ・ユナイテッド・アーバン投資法人
 ・ジャパンリアルエステイト投資法人
 ・オリックス不動産投資法人
 ・伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人
 ・MCUBS MidCity 投資法⼈
 ・日本リテールファンド投資法人
 ・投資法人みらい
 ・福岡リート投資法人
 ・ラサールロジポート投資法人
 ・積水ハウス・リート投資法人
 ・ヘルスケア&メディカル投資法人
 ・ザイマックス・リート投資法人
 ・CREロジスティクスファンド投資法人
 ・インヴィンシブル投資法人
 ・東急リアル・エステート投資法人
 ・三菱地所物流リート投資法人
 ・インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人
 ※また適時開示ではないものの、10月22日付でいちごオフィスリート投資法人、
  いちごホテルリート投資法人が自投資法人サイトで不適合品使用がなかったことを発表している。

<保有物件で不適合品、またはその可能性のある製品が使用されていた>
 ・ヒューリックリート投資法人(1物件)
 ・大和ハウスリート投資法人(1物件)
 ・日本プロロジスリート投資法人(1物件)
 ・日本プライムリアルティ投資法人(1物件)
 ・日本ビルファンド投資法人(1物件)
 ・アクティビア・プロパティーズ投資法人(1物件)
 ・GLP投資法人(1物件)

J-REIT全61銘柄中36銘柄でリリースやその他発表が出された状態(内訳は不適合品使用なし:29銘柄 不適合品又はその可能性のある製品仕様あり:7銘柄)だが、10月23日になってKYBグループに次ぐ免震・制振用オイルダンバー大手の株式会社川金ホールディングス(以下、川金HD)でも同製品の性能検査データ改竄と不適合品の出荷・販売が発覚した。
各J-REITにとってさらなる確認の手間が追加された形だが、それに加えてKYB及び川金HDが不適合品の交換に忙殺されることで、新規建設案件への免震・制振用オイルダンバー供給に影響が出ないかという点も懸念される。

物件動向

10月22日~24日の物件動向だが、特に目立つものはなかった。

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