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2017年04月28日

【前編】第7回「不動産投資市場政策懇談会」

2017年4月27日 国土交通省開催

(写真/PIXTA)

2016年6月、政府は「日本再興戦略2016」の中で「2020年頃までにリート等の資産総額を約30兆円に倍増する」という目標を掲げました。
その目標実現に向けて都市力の向上や地方創生、不動産取引情報の基盤整備等様々な観点から議論を積み重ねてきた「不動産投資市場政策懇談会」ですが、2017年4月24日に開催された第7回目会合ではどのようなトピックが取り上げられ、議論が行われていました。

まず最初に取り上げられたトピックは、不動産特定事業法の一部改正です。
そもそも不動産特定事業とは何かというと、事業者が組合方式で投資家から資金を集めて不動産に投資し、その賃料収入や売買益を投資家に分配する事業です。投資家にとっては小さな資金からでも不動産投資が可能になる点でJ-REITとも似た点があります。
ただし、小さな資金でも投資可能ということは、数多くの個人投資家が参加することも意味します。こうした個人投資家の保護や、最初から詐欺目的で不動産特定事業を行おうとする悪質な業者を排除するするための法律が不動産特定事業法です。
この不動産特定事業法のうち、投資家保護という点から重要性の薄れた部分、クラウドファンディングといった取引・契約の電子化に対応していない規制が不動産投資市場活性化を阻害しているのではないかという議論が過去の「不動産投資市場政策懇談会」でなされてきました。
国土交通省側の説明によると、そうした過去の議論を踏まえた不動産特定事業法の一部改正案が参議院を通過し、現在衆議院通過を待っている状態だということです。
J-REITや私募ファンドに比べて比較的小規模な事業者でも取組可能な不動産特定事業ですが、これがより利用しやすい形となることで、空き地・空き家再生の志を持った地方不動産業者やそれに共感した投資家による地方再活性化への後押しとなるか、注目されます。

続いて取り上げられたのは、企業のCRE改革です。
CREとは「Corporate Real Estate」の略称で、企業が保有する不動産を意味します。企業が不動産を保有した場合、適切な収益・便益が上がっていれば良いのですが、単なる遊休資産化してしまった場合、企業自体にとってはROAといった経営指標の下押し要因となってしまいます。また不動産が企業に死蔵されていることは、不動産を本当に必要とし、より効率的に利用するためのアイディアを持った企業や個人に不動産が行き渡らなくなることを意味し、社会全体にとっても望ましいことではありません。
日本全体では企業やその他法人が保有する不動産は総計で430兆円に及ぶとみられています。その不動産が有効活用されるように、国土交通省側からは、企業の不動産運用部門、あるいは企業から不動産運用を外注する不動産投資顧問サービス業界の育成を支援していくことが重要である見方が示されました。
これに対し、民間・有識者からなる委員側からは、「企業がCRE活用に及び腰なのは、金融緩和で金利負担も小さく、資金の借入れも常に容易な環境になっているため、そうした状況で保有不動産の活用に企業の目を向けるには、税制等で何らかのインセンティブを付与する必要があるのではないか」、「これからの不動産活用というのを考えるとき、従来の不動産業界だけではなく、たとえばシェアリングエコノミーといった新しい界隈にもヒントがあるのではないか」といった指摘がなされました。

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