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2017年06月26日

日本郵政による野村不動産買収が破談

6月19日週のニュース概観

(写真/PIXTA)

概況

5月12日に報道が出て以来、世間の耳目を集めていた日本郵政株式会社による野村不動産株式会社(以下、それぞれ日本郵政、野村不動産)買収騒動だが、6月19日、両社から正式なリリースがあり、当該買収案件の破談が確定した。
買収報道が出て以来、想定される買収額の大きさは勿論、日本郵政グループが保有する不動産と野村不動産が有する開発・運用ノウハウの結合という面からも大きく注目された案件であったが、実を結ぶことなく流れてしまう結果となった。
今回の破談に係る両社のリリースを見ると、日本郵政のリリースは当該買収案件について「現時点において検討を行っている事実はありません。」と記しているのに対して、野村不動産のリリースでは「日本郵政による当社株式の取得について、検討して参りましたが、今般、当該検討を中止することになりましたので、お知らせ致します。」と微妙な食い違いが見られ、両社の意識が上手く噛み合っていなかったことを感じさせる記述となっている。
気になるのは今後の日本郵政の動きだが、グループ全体で2.7兆円超の不動産(建物、土地、建設仮勘定の合計額。数字は2016年3月期有価証券報告書による)を如何に活用するかが収益力向上のカギを握っている状況に変化はない。従って自グループ内での人材育成・運用ノウハウの蓄積に要する時間をM&Aで節約しようとしても不思議ではない状態は依然継続中だといえよう。

昨年7月に三菱地所投資顧問株式会社が設立した物流特化型のMJ物流リート投資法人(未上場)だが、名称変更が6月21日に判明した。変更後の新名称は「三菱地所物流リート投資法人」。当初の名称と比べて一目でスポンサーが分かる点が特徴である。
当該投資法人については「2017年内に上場予定」という報道もあり、このことから知名度のあるスポンサー名を前面に押し出して投資家への訴求度向上を狙ったと推測される。
最近公募価格割れが続くJ-REITのIPOだが、三菱地所という強力なスポンサー、堅調な物流施設需給という好材料を持つ三菱地所物流リート投資法人のIPOがいつ行われ、どのような結果になるか、今から注目される。

物件動向

6月19日週の物件動向だが、主だったものとして以下の3件があった。内訳は用途別ではホテル、住居(学生マンション)、物流施設。地域別では北陸、東北、九州といずれも地方での開発である。

a.石川県金沢市:「(仮称)三井ガーデンホテル金沢」計画
6月19日、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)が北陸では初となる「ガーデンホテル」の開発着工を発表した。
開発地約965㎡は、JR北陸本線「金沢駅」から17分、金融機関やオフィスが集積した区域に属し、金沢城などの主要観光スポットも徒歩圏内という立地。現在当該開発地は株式会社アビタが所有しており、三井不動産はそこを借用して地下1階地上13階建て、延床面積約6万㎡、客室数168室という規模のホテルを建設する(開業予定は2019年初頭)。
b.福岡県福岡市:「(仮称)九大学研都市プロジェクト」
6月19日、日本土地建物株式会社(以下、日土地)が福岡市を舞台とする学生マンションの開発着工を発表した。
かねてより九州大学は福岡市内に分散している各キャンパスをJR筑肥線「九大学研都市駅」に近接した伊都キャンパスに集約しようとしており、今回の日土地の学生マンション開発は九大学研都市駅一帯で膨らむであろう学生の住居需要取込みを狙ったもの。
今回着工した学生マンションは、地上10階建て、延床面積約4,200㎡、総戸数126戸という規模で、カメラ付オートロックや防犯カメラ、カードキー・システムを完備した高いセキュリティ性が特徴。竣工は2018年8月の予定。
c.宮城県仙台市:「プロロジスパーク仙台泉2」計画
6月19日、物流不動産大手のプロロジスが宮城県仙台市を舞台とする物流施設開発計画を発表した。
発表によると、東北自動車道「泉IC」から約2.5km、仙台駅から約10kmの開発地約6.5万㎡に、地上2階建て(事務所部分は4階建て)、延床面積約3.8万㎡のBTS型物流施設を建設するという。既にテナントは確定しており、今後8月に着工して2018年9月に竣工を迎える予定。
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