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2016年06月21日

【後編】「平成28年版 土地白書について」

土地総合研究所第191回定期講演会

1.平成27年度の地価・土地取引等の動向(続き)

続いて「土地問題に対する国民の意識調査」です。その中に「土地は預貯金や株式などと比べて有利な資産か」という質問があります。回答は「そう思う」、「どちらともいえない」、「わからない」、「そうは思わない」の何れかを選択して行います。最新となる平成27年度の調査結果は、「そう思う」が過去最低の30.1%、「そうは思わない」が過去最高の41.3%でした。最近「低金利を嫌気した個人が不動産投資を活発化」とマスコミで取り上げられることが増えてきていますが、全体的に見れば個人にとってまだ不動産は身近とは言い難い投資対象なのかもしれません。なお平成5年度では「そう思う」が61.8%、「そうは思わない」が21.3%でした。時代の違いというものでありましょうか。
3つ目の注目点は、企業が保有する福利厚生施設等の土地面積推移です。平成5年以来減少が続いてきた数字が、平成20年を底として反発に転じているのです。内訳をみると、反発の原動力となったのは社宅・従業員宿舎の増加でした。現在、様々な業界で人手不足と人材の流出を防ごうとする企業の努力が報じられていることを考えると、この先さらに数字が伸びてくるか興味深いところです。

3.変化に対応した既存ストックの有効活用と不動産情報の多様化

ここのテーマは空き家問題です。総務省「住宅・土地統計調査」によれば、昭和63年にほぼ400万戸であった空き家は平成25年には約800万戸と倍増するに至っています。一方で国土交通省「土地問題に対する国民の意識調査」を見ると、「新築住宅か中古住宅か」という問いに対して、「新築」と回答する割合は例年6割強を記録しています。こうした根強い「新築信仰」の流れを変え、中古住宅の流通を活性化し、空き家発生を減少させるため、政府はどのような手を打っているのでしょうか。
今回のセミナーで取り上げられたのは、「既存住宅の建物評価ルールの改善」と「宅地建物取引業法改正」です。
「既存住宅の建物評価ルールの改善」では、戸建て住宅を築20~25年程度で市場価値ゼロと評価する取引慣行を打破するための取組みとして、リフォームによる価値の回復、向上を織り込めるよう不動産鑑定実務への働きかけ(平成27年7月に「既存戸建て住宅の評価に関する、留意点」策定)や宅地建物取引業者の査定の改善(平成27年7月に「既存住宅価格査定マニュアル」改訂)が紹介されました。
また「宅地建物取引業法改正」では中古住宅の取引フローにインスペクション(第三者的な立場の専門家による住宅の状態・性能評価)を組み込むための改正を行い、5月27日に国会を通過して現在施行を待っているという説明がありました。
いずれも導入して日が浅い、または未施行ということで効果が出てくるのは少し先のことになりますが、目が離せそうにありません。

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