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2016年12月12日

平成29年度税制改正大綱とJ-REIT等への影響

12月5日週のニュース概観

(写真/PIXTA)

概況

12月8日、自民・公明両党が平成29年度税制改正大綱(以下、大綱)を正式に決定し、発表した。
当該大綱の中でJ-REITに直接関係するのは、投資法人等が一定の不動産を取得する場合の不動産所得税の課税標準軽減措置について適用期限が2年延長されたこと、そして軽減措置の対象となる「一定の不動産」にヘルスケア施設が追加されたことである。これが外部成長で苦戦の目立つヘルスケア施設特化型REITへの追い風になるか注目したい。
またREITと共通点の多い上場インフラファンドについても動きがあった。現状の上場インフラファンドは市場の拡大、投資家への普及について様々な課題を抱えている。そのうちの一つが、導管制要件(利益に課税されることなく分配に回すことが可能となる要件)を満たすには2017年3月31日までの再生可能エネルギー発電設備取得が必要なことであった。これにより、上場インフラファンドの組成を考えるも2017年3月31日までに準備が間に合わない事業者は様子見を余儀なくされていた。この取得期限について大綱では3年の延長が明記されたのである。上場インフラファンドの組成を考えている事業者にとって一旦政策上の不透明性が晴れた形であり、今後の上場インフラファンド市場拡大に繋がることが期待される。
総じて、不動産やその関連分野では各業界団体、諸省庁の要望が概ね反映された大綱だが、一点、「新型・大規模物流施設整備促進税制の創設」は盛り込まれなかった。eコマースの進展による配送の小口化多頻度化に対応可能な高機能物流施設の需要が高まっている昨今、その開発・投資に対する政府支援の今後が気になるところである。

同じ12月8日、森トラスト株式会社(以下、森トラスト)が米国で推進している不動産投資事業の発表を行った。
発表によると、米国での不動産保有、賃貸、その他関連事業の統括会社として子会社MORI America LLCを去る11月7日に設立し、当該子会はマサチューセッツ州ボストン市のオフィスビル2棟の購入契約を締結したという(契約締結日2016年11月15日、物件取得予定日2017年1月5日)。
森トラストは既に中長期ビジョン「Advance2027」にて総額8,000億円程度の投資を実施していく考えを示しているが、そのうち北米をはじめとした海外への投資を2,000憶円規模まで拡大させて安定した資産ポートフォリオの構築を目指すという。

物件動向

12月5日週の物件開発動向だが、主だったものとして以下の発表があった。

a. 静岡県三島市:「三島駅南口広域観光交流拠点整備事業」計画
12月6日、静岡県三島市で進められている三島駅南口の市及び土地開発公社所有地再開発事業で、東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)と株式会社東急ホテルズ(以下、東急ホテルズ)の企業グループが事業提案に関する最優秀提案者に選出された。
市当局の発表によると、東急電鉄と東急ホテルズの事業提案は、地上16階建て、客室数200室のホテルを建設し、当該ホテルの竣工後は東急電鉄が土地・建物を保有してホテル部分を東急ホテルズ、商業部分を外部テナントにそれぞれ賃貸するというもの。
この最優秀提案者選出だが、提案内容そのもの以外に、最終的に事業提案に応募したのが東急電鉄と東急ホテルズの企業グループ1つのみであったこと、そして東急電鉄と東急ホテルズの提案したホテル建設案が眺望や豊富な湧水の存在にも配慮したデザイン、工法であったことも評価に繋がったという。
今後、ホテルの2020年4月開業を目指して計画の具体化、工事が進められていく。
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1 新宿三井ビルディング 1,700億円
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4 汐留ビルディング 1,069億円
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