5月23日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
5月24日、国土交通省が「不動産鑑定士の専門性を認定する仕組みに関する基本的事項」を発表した。
これは、不動産証券化に通じた不動産鑑定士を継続的・計画的に生み出していくことを目的としたもので、以下の2本柱から構成されている。
1.不動産鑑定士を対象とした証券化対象不動産の評価に関する体系的研修プログラムの策定。
2.当該研修を修了した不動産鑑定士の専門性を認定・明示化する仕組みの構築。
国土交通省は「2020年頃にリート等の資産規模を約30兆円に倍増」という目標を掲げ、その実現の手段として官民に蓄積された不動産ストックの証券化、フロー化を重視している。だが同時に、不動産証券化をより活発かつ円滑に進めていくには、対象となる不動産の鑑定評価について更なる精緻化、信頼性向上が必要との見方も示していた。
こうした背景から出てきた今回の「基本的事項」だが、ここ最近の国土交通省の取組みは勿論、さらには5月18日に政府経済財政諮問会議が発表した「経済財政運営と改革の基本方針2016」(仮称)にリート市場機能の強化、鑑定評価制度の充実が謳われていることとあわせ、不動産投資市場の整備、充実に対する政府の意気込み、力の入れようが感じられる。
5月26日、野村マスターファンド投資法人(以下、NMF)とトップリート投資法人(以下、TOP)が合併を発表した。合併の効力発生日は2016年9月1日。存続投資法人はNMFで消滅投資法人はTOP。
NMFは昨年10月1日に野村不動産マスターファンド投資法人(旧)、野村不動産オフィスファンド投資法人、野村不動産レジデンシャル投資法人が合併して誕生した大型総合リートだが、そこから1年もたたずに「次なる合併」に踏み切った。
一方のTOPは三井住友信託銀行と王子不動産をスポンサーとしてきたが、外部成長で苦戦が続き、2016年2月20日に行われた個人投資家向けイベント「J-REITファン2016」ではAM会社であるトップリート・アセットマネジメントの千葉代表取締役が「今後の成長には新たなスポンサー招聘も含め、大胆な手が必要」との認識を示していた。
平時のリート合併としては初めてグループの垣根を越えた今回の案件だが、分野を問わず物件取得条件が厳しくなっている現在、追随の動きが出てくるか注目したい。
>> 野村マスターファンド投資法人の銘柄ニュース「野村不動産マスターファンド投資法人とトップリート投資法人が合併」
5月27日、国土交通省が平成27年度「不動産証券化の実態調査」を発表した。それによると27年度において証券化不動産の取得額は約5.4兆円、証券化件数は1,069件でいずれも前年度を下回った(平成26年度の証券化不動産取得額は約5.5兆円、証券化件数は1,232件)。取得額および件数が前年度を下回るのは平成20年度以来の出来事である。
証券化対象となった不動産を用途別にみると、オフィスが最大の35.6%を占め、倉庫や商業施設がそれぞれ15.2%と続いた(ただしオフィスは前年度比で減少)
証券化不動産の取得・譲渡状況では、特定目的会社、匿名組合-合同会社が売り手、リートが買い手という構図に変化はなかった。
地域別の取得実績を見ると、単一の都道府県では東京が最大とはいえ前年度の565件から大きく数字を減らして361件にとどまったこと、そして東京都以外が708件で平成21年度以来6年度連続増を記録したことが目を引く。
5月16日週は以下の1件の物件動向が報じられた。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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