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2016年04月22日

熊本地震のJ-REITへの影響

4月11日週のニュース概観

「平成28年熊本地震」により多くの方が被害に遭われており、犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されたすべての皆さまに、心からお見舞いを申し上げます。

概況

4月14日夜、九州熊本県熊本市を震源とする強い地震が発生した。既に国や地方公共団体を中心に対応や復旧活動が開始されているが、週末も強い余震が発生し続け、物流や製造業拠点への影響を懸念する声が上がっている。

気になるJ-REITへの影響だが、九州地方や熊本県におけるJ-REIT保有物件の分布状況を一覧表と地図にまとめると以下のようになる。

<<九州におけるJ-REIT物件保有状況>>

県名J-REIT保有物件数概要
福岡県 119 住居がほぼ半数を占める(58物件)
佐賀県 9 所在地鳥栖市8件(うち7件が物流施設)
長崎県 2 ホテルと郊外型商業施設
大分県 4 3件が所在地大分市
熊本県 8 殆どが熊本市に分布(熊本市6件 上益城郡1件)
宮崎県 0  
鹿児島県 4 3件が所在地鹿児島市

※SPC投資を通じてのものも含む。

<<熊本県におけるJ-REIT保有物件>>

物件名用途保有REIT所在地
NBF熊本ビル オフィス 日本ビルファンド投資法人 熊本市
イオンモール熊本 郊外型商業施設 イオンリート投資法人 上益城郡
いちご熊本ビル 事務所 いちごオフィスリート投資法人 熊本市
ドーミーイン熊本 ホテル ジャパン・ホテル・リート投資法人 熊本市
チサンイン熊本御幸笛田 ホテル 星野リゾート・リート投資法人 熊本市
イオンモール宇城 郊外型商業施設 ユナイテッド・アーバン投資法人 宇城市
熊本インターコミュニティSC 郊外型商業施設 福岡リート投資法人 熊本市
MY熊本ビル 事務所 SIA不動産投資法人 熊本市

※両一覧表ともに、各投資法人の開示情報からJapan REIT(株)が作成。
※保有物件の状況は各投資法人名のリンクから各投資法人ホームページにてご確認ください。

<<熊本地方地震の震度状況と九州北部・中部一帯におけるJ-REIT保有物件分布>>
(黒丸が物件所在地、黒円で囲った範囲は複数の物件が集積している地域)。

※気象庁「推計震度分布図 2016年04月14日21時26分 熊本県熊本地方 M6.4」 (http://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/suikei/201604142126_741/201604142126_741_1.html)  を加工してJapan REIT(株)が作成。物件分布状況は各投資法人の開示資料による。

今回の地震が保有物件の最大集積地である福岡県(特に福岡市)におけるJ-REIT保有物件の75%程度は住居、オフィスで占められていることから、J-REIT全体が地震から受ける影響は限定的だと考えられる。
ただし、熊本県に存在する物件は勿論、地震を不安視する観光客の九州回避、自粛ムードの広まりによる九州他県のホテル、商業施設への影響も想定されるため、引き続き各投資法人の発表を待ちたい。

物件動向

4月11日週は以下の3件の物件開発動向が報じられた。その中でも、開発される物件の規模だけでなく、その波及効果という点で、森ビルが発表した虎ノ門エリアでの大型開発計画がひときわ目を引いた。

a.東京都中央区:「(仮称)日鐵日本橋ビル建替計画」
新日鉄興和不動産(ジャパンエクセレント投資法人のメインスポンサーの一角)が11日に着工を発表した。計画の概要は、同社保有物件「日鐵日本橋ビル」を解体してその跡地に地下3階地上18階、延床面積約2.7万㎡のオフィスビルを建設するというもの。竣工は2019年3月を予定しており、完成した物件は新日鉄興和不動産におけるフラッグシップ物件の一つとして位置づけられるという。
b.愛知県名古屋市:「名古屋名駅南ホテル開発」計画
4月13日にJR西日本不動産開発が発表したホテル開発計画。計画の概要は、名古屋市中村区名古屋駅1丁目に地上14階建て、延床面積約3.8千㎡、客室通166室のホテルを建設するというもの。建設工事は今年5月開始の予定で、2017年秋頃には開業の見込み。
JR西日本不動産開発にとって初の東海エリアでの開発となる当該案件だが、同社は今後も開発エリア拡大を進めていく考え。
c.東京都港区:「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」「仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」計画
4月13日、森ビルは虎ノ門ヒルズに隣接した地域で大型ビル3棟の開発を梃として虎の門エリアをオフィス、ホテル、住居、商業施設といった多機能性に富むグローバルビジネスセンターへと変貌させる計画を発表した。
計画発表で取り上げられた新設ビルの概要は以下の通り。
・(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー⇒地下3階地上36階 延床面積約17.3万㎡ 着工予定2016年度 竣工予定2019年度
・(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー⇒地下4階地上56階 延床面積約12.2万㎡ 着工予定2016年度 竣工予定2019年度
・(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー⇒竣工予定2022年度
2020年度には東京メトロ日比谷線虎ノ門新駅の開設も予定されており、森ビルが進める大型開発との相乗効果で虎ノ門エリアが「国際新都心」として名実ともに備わった地区となるか注目される。
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決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
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