新築ビルの空室率の動きは2015年1月(14.85%)、2月(29.31%)、3月(30.36%)、4月(33.21%)、5月(36.84%)、6月(39.67%)、7月(36.14%)、8月(41.17%)と今年になって大幅な上昇となっています。2015年8月は新築ビル1棟が稼働したことや、満室稼働の大規模ビルを含めたビル5棟が既存ビルの区分にシフトしたことから、空室率が上昇となりました。
全体としては、8月は解約や新規供給の影響が少ない中、拡張や統合などに伴う大型成約の動きが見られたため、東京ビジネス地区全体の空室面積はこの1カ月間に13,000坪減少しました。
出典:三鬼商事(株)東京(都心5区)の最新オフィスビル市況より
上昇傾向を続ける東京都区部のオフィス需要ですが、株式会社 都市未来総合研究所の2015年9月不動産トピックスによると、今後、オフィスワーカー数の減少に伴い、オフィス需要が縮小する可能性が指摘されています。
※国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の2014年現在の総人口は1憶2700万人、2040年には1憶700万人と約15%減少し、15~64歳人口は約26%減少するとされています。また、東京都の推計によると、オフィスワーカー数は、東京都心部、都心5区で2015年にピークを迎え、その後減少するとされています。
すでに見てきたように、オフィスビルの平均賃料は上昇傾向を続けているものの、その上昇幅は小幅です。同不動産トピックス7月号では、賃料上昇が小幅にとどまっている要因を
①空室率の規模が大きいこと
②大規模・高スペックのオフィスビルの供給増による希少性低下
③高額賃料をけん引するテナント業種不在
④今後も大規模オフィスビル供給の予定
の4つとしています。
従来は大規模・高スペックのオフィスビルは希少性が高く、競争力があったため高額な賃料を実現していました。これに引きずられる形で下位のビルの賃料が上昇し、市場全体の賃料水準が上昇していたと考えられます。これに対して現在は供給増により大規模・高スペックのオフィスビルの希少性が低下しており、こうした状況が賃料上昇を小幅に留めていると考えられています。
同調査では、こうした大規模ビルの供給増による大規模・高スペックのオフィスビルの希少性の低下や、東京都心のオフィスワーカー減少等によるオフィス需給の構造的な変化に対応した戦術が必要であるとしています。
具体的には、こうした成熟化する市場を念頭に置き、市場に残されたニッチ領域を開拓する戦術の有効性が高まるとしており、例として、『周辺部では、都心オフィスビルが住居系施設へ用途転換することを前提とした小型スーパーマーケットや子育て支援施設といった住宅向け機能や施設の整備』等をあげています。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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