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「REITキーマンに聞く!」三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 亀岡 直弘氏
今回は、三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 亀岡 直弘氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。
――物件取得の特徴についてご説明ください。
1口当たり分配金と1口当たりNAVの持続的、安定的な成長には、優良な物件の取得が欠かせません。
日本ロジの競合となる他の物流施設特化型REITの多くには、スポンサーからの物件取得が多いという特徴があります。日本ロジのスポンサーである三井物産も物流施設の開発は行っていますがデベロッパーではないため、少なくともこれまでのところ、日本ロジは競合他社と比較してスポンサーからの物件取得は多くはありません。一方で、日本ロジは従来から物件取得に関して工夫を行い、相対取引での取得機会を自律的に創出してきた実績があります。これによって日本ロジはスポンサーのみに依存しない成長を達成しており、この点が日本ロジの特徴であり強みといえます。
これらの取組みのひとつとして、他のJ-REITではあまり行われていないOBR(Own Book Redevelopment)があります。OBRとは、日本ロジが保有する物件を自ら再開発する取組みです。日本ロジ自身が再開発を行う主体となることで、外部に再開発を任せてしまった場合に日本ロジが負担しなければならない開発事業者の開発利益の社外流出を防ぐことができ、結果としてより収益性の高い物件へと生まれ変わらせることができます。
また、最近ではこの再開発ノウハウを活かしたパートナー企業との協働による物件開発や、物件の売主の要望に柔軟に対応するオーダーメイド・ストラクチャリングなど、売買市場での入札参加のみならず、クリエイティブな発想で自ら取得機会を創出することにより、相対的に高い利回りでの物件取得を実現しています。
――物件売却/入替の検討についてはどのようにお考えでしょうか。
日本ロジでは保有物件のキャッシュフローの安定性について定期的に検証を行っています。1つ1つの物件について、テナントが退去した場合に新規テナントを募集する際の難易度、経年劣化などによる修繕費用増加などの保有コストの上昇、周辺での新規物流施設の開発動向などの立地の優位性の変化の3つの観点から、いくつかのシナリオを想定しつつ中長期的な将来のキャッシュフローの安定性に懸念がないか検討しています。そういった確認の中で、想定されたシナリオの中から将来のキャッシュフローの安定性に懸念が出る方向へ進む可能性が高まった物件に関しては、売却や入替、OBRの実施について検討します。
売却や入替の判断に際しては、足元での物件の状態のみではなく、中長期の目線で評価を行います。例えば足下では稼働率も利回りも高い物件であっても、テナントが退去した後のリテナントに関して懸念があるような物件は、テナントとの契約が残っている今だからこそ売却できるとも考えられます。
また、日本ロジは前述の通り、J-REITの中でもトップクラスの含み益率を誇っています。仮に物件を売却して含み益が売却益として実現した場合には、投資家への分配等戦略的に活用していきます。
日本ロジは、中長期な目線を持って物件の売却や入替等の適切なポートフォリオマネジメントを実施することにより、キャッシュフローの安定化とともに、投資主価値の最大化を図っていきます。
――先ほど投資家ファーストとのご発言もありましたが、IR戦略についてお聞かせください。
オフィスや住宅、商業施設、ホテル等と異なり、物流施設は個人の投資家が直接利用する機会が少ないため、J-REITのアセットタイプとして物流施設特化型REITの認知度はまだ低いと感じています。そこで、より多くの個人投資家にお会いして説明の機会を設けるべく、今年は昨年の倍となる1,400人の個人投資家とお会いすることを目標としており、積極的にIRを行っています。
――本日は、大変お忙しい中ご対応いただき、ありがとうございました。
今回インタビューにご対応いただきました三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社
代表取締役社長 亀岡 直弘様です。