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第1部「REITキーマンに聞く!」ケネディクス不動産投資顧問株式会社 浅野 晃弘氏
今回は、ケネディクス不動産投資顧問株式会社 浅野 晃弘氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。
略歴:浅野 晃弘(あさの あきひろ)氏
1994年 三菱商事株式会社入社、2001年 三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社に出向。その後2004年 ケネディ・ウィルソン・ジャパン株式会社(現 ケネディクス株式会社) 投資事業部、2013年 ケネディクス株式会社 戦略投資部 投資第1チーム長、執行役員歴任後、2014年9月 ケネディクス不動産投資顧問株式会社 取締役最高業務執行者(COO)兼 商業リート本部長(現任)、同年10月 ケネディクス商業リート投資法人 執行役員 就任(現任)。
第1部:業界動向・商業施設特化型リートについて
――総務省「国勢調査」によると日本の人口は既にピークをうっており、少子高齢化が一段と進む中で、家計支出への影響や消費者の年齢層が上がることによるターゲット層の変化等も考えられますが、商業施設を取り巻くトレンドは今どのような状況でしょうか?
今、日本の人口動態を分析すると3人に1人が60歳以上という超高齢化社会を迎えようとしています。
一方で、自動車などを除く物販の日本の小売マーケットは年間130兆円規模といわれていますが、人口減少のトレンドに入った後も、実は小売マーケットの規模は減っていません。背景としては、お金を持っている50~60代以上の世帯が増えてきているので、小売マーケットの規模自体はそこまでは下がっていないという結果になっています。
特に弊社が資産運用会社として運用を行っているケネディクス商業リート投資法人(以降、本投資法人)がターゲットとしている食品や生活必需品などは、景気にかかわらず購入されるものなので、過去のトレンドをみても安定している市場であると考えています。
現在の小売マーケットのトレンドは、大きくは2つあると思います。ひとつは商圏の小規模化、もうひとつは総合スーパー(GMS)(以降、GMS)※の衰退による専門店の需要の向上です。
※ ゼネラルマーチャンダイズストア(GMS):食料品や日用品のみだけでなく、衣料品や家電、家具など日常生活で使う様々なものを総合的に扱う大規模な小売業態のこと。
1つ目の商圏の小規模化は高齢化社会の進行とともに進んでいます。
購買層の高齢化が進むと、日々の購買は近隣で済ませるようになってきます。
都心にお住まいの方であれば、徒歩や自転車で行ける近くの食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストアで買い物を済ませるという状況です。
郊外にお住まいの方も、自家用車を使用する場合でも自宅から10~15分で行ける近隣店舗で必要なものを購入して帰宅するという消費行動が傾向として見られます。
商業施設の規模と商圏は正比例の関係にありますので、以前ほど大きなショッピングセンターは必要なくなり、食品スーパーやネイバーフッドショッピングセンター(以降、NSC)※といった商圏3~5kmを主にターゲットとした商業施設がどんどん増えてきています。
※ ネイバーフッドショッピングセンター(NSC):近隣住宅地など小規模商圏をターゲットとしており、食品スーパーを核として各種専門店などのテナントが入居しているショッピングセンターのこと。
――足元の人口動態もあると思いますが、商業施設に必要な商圏人口はどのくらいで、どのようなエリアが投資対象になるのでしょうか?
本投資法人では首都圏・大阪圏・名古屋圏・福岡圏の4大都市圏近郊の人口が安定したエリアに投資をするという点を心がけています。
日本の人口全体は減少トレンドですが、国勢調査を見ると都市集中化が進んでいます。つまり大都市圏近郊部では人口流入が起きており、人口が増えている状況です。
物件の選定に当たっては、生活密着型商業施設というテーマなので、3~5km商圏の人口が大事になります。
そこの人口動態が過去のトレンドから増えている、増えていなくても十分な人口ポテンシャルがあるという点は、重要視しています。
例えば一般的に、食品スーパーは1万人に1店舗で成立します。
食品スーパー単独では3km圏の商圏と考えますが、そこに3万人の商圏人口があれば、3店舗は成立することになります。
本投資法人ではこうした人口動態と競合状況を見て、分析しながら物件を選定しています。
ケネディクス商業リート投資法人のサイトにて、特徴・戦略、ポートフォリオ等をご確認いただけます。(http://www.krr-reit.com/index.html)