2011年12月19日

2012年の投資口価格は?/REITアナリスト 山崎成人

2011年7月以降の投資口価格の動きを東証REIT指数で追ってみます。

月間平均値
2011年7月 1,014.22
2011年8月 979.65
2011年9月 947.04
2011年10月 895.08
2011年11月 852.86

7月までは1,000ポイント超を維持していたものの、8月に下回り、以後続落しています。
12月も未だ下がりそうで、恐らく月間平均値は840ポイント台になると予想されますが、ここまでは仕方ないとしても、問題は2012年の動きになります。
2012年も続落基調が続けば、遠からず800ポイント割れになりますから、一旦は踏ん張ると思いますが、常に底値を窺う圧力が掛かると予想されます。
一方、このような投資口価格の動きになっている根拠は薄弱で、REIT運用側も原因が掴めないと思います。
マクロ経済の動きや世界の投資環境は厳しいですが、それが具体的にREITにどのような影響を与えるかは明確ではありません。
賃料は毎月現金払いで2~3年契約によって金額は固定されていますから、例えマクロ経済が変動しても収入は変わりません。
一方、2012年は再び新築ビルの大量供給が予想されていますので、依然としてオフィスビル市場に好転の兆しはありませんが、REITはレジデンスや商業施設も保有していますから、オフィスビルだけでパフォーマンスを得ている訳ではありません。
従って、オフィスビル専門銘柄の投資口価格は軟調になっても、レジデンスを多く保有している銘柄は現状維持又は若干は上昇しても良いはずです。
然しながら、今までオフィスビルセクターが引っ張ってきたREITは、オフィスビル銘柄が弱まると、全体が萎む傾向になっています。言うなれば、情緒的な判断によって投資口価格の傾向が決まる動きになっていますから、中々予想が付かないのが現実です。
そこで、このような状況では、どの銘柄の下げ幅が小さいかを考えるしかありません。
即ちキャピタルロスが小さくて現在の予想配当率が投資判断に使える銘柄がベストですが、目を凝らせばこのような銘柄は存在します。そして、暫くは投資口価格の動きを無視して、最低でも1年程度保有していれば、現在の投資口価格と同等か又は若干は上昇していそうな銘柄が見つかればインカムゲイン投資が成り立ちます。
こう考えると、軒並み予想配当率が6%/年台になっているREITは、今の状況に見合った投資商品になっているとも言えますので、そろそろ市場の情緒的動きとは別の判断をしても良いだろうと思います。


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