J-REITに外資が触手/REITアナリスト 山崎成人
8月12日にリプラス・レジデンシャル投資法人から第3者割当増資と、その資産運用会社であるリプラス・リート・マネジメント(株)の株式を譲渡し、新たなスポンサーとの提携を行う事が発表されました。
提携先である「アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィ」は、資産運用会社の株式の35%をオリジネーターのリプラス(株)から譲受ける事で、リプラスに次いで第2位の株主になります。
投資法人の第3者割当増資による新規発行口数は70,000口で、割当の内訳は、
アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィ:34,300口(175,000円/口)
リンゴ・レジデンシャルTMK:28,700口(同 上)
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口):7,000口(同 上)
となっています。
その実体は、アップルリンゴ・ホールディングス・ビー・ヴィの100%株主であるオーシーエム・ネダーランド・オポチュニティーズ・コーペラティブ・ユーエー(オランダ法人)のようですが、更にその先があるようです。
資産運用会社の役員として新たに就任する人物の経歴を見ると、オークツリー・ジャパン(株)からの派遣となっています。
オークツリー・ジャパンは以前より日本の不動産投資に注目していて、特にJ-REITに強い関心を持っていましたので、今回の提携先の実体がオーク・ツリーだとすれば納得出来ます。
第3者割当増資以外にも、TOBによって市場から投資口を買い集めて、最終的には、導管性要件をクリアーする範囲内でリプラス・レジデンシャル投資法人の発行済投資口数の48.4%を取得する予定になっています。
これらの一連の発表を読むと、リプラス・レジデンシャル投資法人の投資口の価値反転を狙った買収だとも言えるかも知れません。
これと似た動きは、ニューシティ・レジテンス投資法人の第3者割当増資を受けたフィデリティ投信にも見られます。
この両者とも日本の不動産投資に注目していて、J-REITにも強い関心を持っていた点で共通しています。他の外資もJ-REITには高い関心を持っていて、今後、第3、第4の動きが出てくる可能性も否定出来ません。
現在、J-REIT市場は低迷状態にあり、中でもレジデンス銘柄の多くは苦境に立っていますが、海外勢から見ると、日本のレジデンスに魅力を感じているとも言えます。
確かに、バブル崩壊後の外資による不動産のバルク買いと比べると、J-REITの保有している資産の質は高い上に資産運用も担ってくれますから、純投資として考えられるというメリットもありそうです。
最近ではJ-REITの大口投資家であった地方銀行が売り越しを続けているようですが、国内投資家が弱気になっているうちに、海外勢が仕掛けてきたとも言えなくはありません。
この帰趨は、未だしばらくは分かりませんが、風潮で売買している国内投資家と情報集めて吟味した上でリスクを取って投資する海外勢と何れが利益を得るのかと考えれば、何となく先が分かるような気がします。
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