証券税制・損益通算の導入/池島 麻美
注目されていた証券税制、ついに損益通算を導入することが決まりました。
「貯蓄から投資へ」を促す効果もあると言われていますが、投資家にとって見逃せない新しい税制について今回はご紹介させて頂きます。
2008年度税制改正要項によれば、証券税制は株式譲渡損益と配当所得を差し引きする「損益通算」を導入することが決まったとのことです。
2003年からこれまで、株式の譲渡益と配当には軽減税率10%が適用されていました。本則20%であるのを10%に軽減されていましたが、これを2008年末で廃止することになったわけです。まず適用には上限額を設けており、譲渡益は年500万円以下、配当は年100万円以下の部分のみ軽減税率を2年間延長となります。
そして更に2009年1月から株式譲渡損益と配当を通算して課税が出来るように制度が改められるのです。
2009年の制度導入にあたり、損益通算する投資家は確定申告が必要となるのです。
現在、源泉徴収ができる証券会社の特定口座をご利用されている投資家の方も多いと思いますが、特定口座で損益通算が可能になるのは2010年1月を目処だいうことです。それまでは確定申告を忘れないようにする必要があります。投資家にとっては面倒な手続きが増えるわけですね。
しかもこの延長の2年間は税率が二段階になるため、譲渡益が500万円超、配当が100万円超と上限を超える投資家は、現在特定口座を使っていても確定申告する必要があります。
そして複数の証券会社の特定口座を利用している投資家の方も確定申告が必要になると思われます。
今回の証券税制の損益通算の導入は、株式投資で損失を出しても配当の税額を圧縮してリスクを軽減でき投資を促す効果があると言われています。
実際に預貯金の利子や債券など他の金融商品との損益通算が出来ればリスクは軽減されると思います。
そのため金融庁は、将来の「金融一体課税」へ前進と今回の改正を評価しているとのことですが、今のところ投資家にとって面倒な手続きや税務負担のほうが先立っているように思います。
今後は、投資家所得の把握など損益通算の範囲拡大に注目されることとなりそうです。
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