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決算情報拾い読み 平和不動産リート投資法人
2022年5月期(第41期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2022年7月14日に開示されたた平和不動産リート投資法人(以下HFR)の41期(2022年5月期)決算説明会資料です。
資産運用会社は、平和不動産株式会社の100%子会社である平和不動産アセットマネジメント株式会社にて、HFRは2005年3月に上場しており、2010年10月にはジャパン・シングルレジデンス投資法人と合併しております。
ポートフォリオ投資方針等
ポートフォリオ戦略
HFRは、オフィスビル、レジデンスに投資する。例外的資産として、オフィスビル及びレジデンスの底地に投資することがある。投資地域は、東京23区を中心に東京・神奈川・埼玉・千葉の主要都市、及び仙台・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡等の地方主要都市。
第41期のトピックス
1.投資環境
オフィスビル賃貸マーケット
三鬼商事株式会社の最新オフィスビル市況によれば、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビルの平均空室率は、館内縮小や集約等に伴うテナントの解約の動きもあったが、拡張移転等による成約の動きも見られたことから上昇ベースは鈍化しつつあり、前期末(2021年11月末)の6.35%から当期末(2022年5月末)には6.37%とほぼ横ばいで推移した。一方、平均賃料については、2020年8月以降22ヵ月連続で下落となり、前期末の20,686円/坪から当期末には20,319円/坪となった。新型コロナウイルス感染症のオフィスビル市況へ及ぼす影響は今なお大きなものがあるが、昨秋頃から空室率の増加は収まる傾向も見せており、併せて、テナント側においてはコロナ禍を契機としてオフィス戦略を見直す前向きな動きも増え、テナントの規模縮小、経費節減等を理由とする解約の懸念は縮小しつつあるものと思われる。本投資法人の運用資産における稼働率は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は収まりを見せており高水準を維持するものと考えている。
レジデンス賃貸マーケット
アットホーム株式会社によれば、2022年5月の全国主要都市(首都圏1都3県、札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市の10エリア)のマンション平均募集家賃は、東京都下・埼玉県・千葉県・大阪市が30㎡ 以下から70㎡超の全面積帯で前年同月を上回ったが、東京23区の30㎡以下の面積帯では下落基調が継続している。しかし、50㎡~70㎡の面積帯では全10エリア中、福岡市を除く9エリアで前年同月を上回り、中でも、神奈川県・埼玉県・千葉県・名古屋市においては2015年1月以降最高値を更新した。また、2022年5月の「建築着工統計調査報告」によると新設住宅着工戸数(貸家)は、2021年3月以降15ヵ月連続で増加した。前期に引き続き供給は増えているものの、需給動向は安定的に推移した。しかし、都区部の賃貸マンションは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うテレワーク進展などの生活様式の変化が需要に影響を及ぼしており、やや弱含んだ状況が見られる。本投資法人の運用資産における稼働率は各種施策を講じたことで期中において安定的に推移した。また、景況悪化による影響は限定的であり、短期的な運営への影響は軽微と考えている。
不動産市況
2022年3月に発表された2022年1月1日時点の地価の公示価格においては、三大都市圏では全用途平均・住 宅地・商業地は2年ぶりに上昇に転じ、工業地は8年連続の上昇となり上昇率が拡大した。また、地方圏でも同様に全用途平均・住宅地・商業地は2年ぶりに上昇に転じ、工業地は5年連続の上昇となり上昇率が拡大した。本投資法人が投資対象と考えている地方における政令指定都市についても、住宅地、商業地ともに上昇率が拡大し、上昇傾向が継続している。新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られるが、今後も不動産市況の動向を注視していく必要があると思われる。
2. 外部成長
本投資法人は、ポートフォリオの収益性の改善及び質の向上を目的とし、2021年12月22日付でレジデンス1物件(Re-99HF上野入谷レジデンス(不動産、取得価格:9億円))、2021年12月23日付でオフィス1物件(Of-49 インタープラネット江坂ビル(信託受益権、取得価格:25億円)、2022年2月28日付でレジデンス1物件(Re-100 HF辻堂レジデンス(不動産、取得価格:18.7億円))を取得し、2022年5月27日付でレジデンス3物件(Re-29 HF白山レジデンス(不動産)、Re-35HF芝公園レジデンス(信託受益権)及びRe-36 HF三田レジデンス(信託受益権)、取得価格の合計:42.66億円)を売却した。また、2021年12月24日付でオフィス1物件(Of-48 ファーレイーストビル(不動産、取得価格:6億円))を追加取得し、建物保有割合を23.06%(敷地権割合)とした。
この結果、当期末時点での運用資産は、オフィス36物件(取得価格の合計:921億円)、レジデンス78物件(取得価格の合計:1,042億円)の合計114物件(取得価格の合計:1,963億円)となっている。
3. 内部成長
本投資法人は、従来から稼働率の維持向上に注力することにより、収益の向上に努めて参ったが、当期においても、空室期間の短縮化に努めたテナントリーシング活動及びテナントニーズや物件毎の特性を踏まえた計画的なバリューアップ投資に取り組んだ。こうした取組みによって物件の競争力の維持向上に努めた成果もあり、全運用資産合計の稼働率は、当期末時点で97.6%となり、前期末時点の97.7%から期中を通じて高稼働で安定的に推移させることができ、期中月末平均稼働率は97.5%と高水準となった。また、環境・省エネルギーへの配慮及び地域社会への貢献等を中心としてESGへの取組みを推進している。
4. 資金調達の概要
本投資法人は、物件の取得資金等に充当することを目的として、2021年12月22日付でタームローン56(借入金額:9億円)、2021年12月23日付でタームローン57(借入金額:5億円)、タームローン57(借入金額:10億円)、タームローン57(借入金額:10億円)、2021年12月24日付でコミットメントライン(借入金額:6億円)、2022年2月28日付でタームローン59(借入金額:7億円)、タームローン59(借入金額:12億円)の借入れを行った。また、2022年2月24日に元本返済期日を迎えたコミットメントライン(借入残高:6億円)の返済資金に充当するため、同日付でタームローン58(借入金額:6億円)の借入れ、2022年5月31日に元本返済期日を迎えたタームローン34トランシェB(借入残高:28.8億円)、タームローン43トランシェA(借入残高:29.69億円)の返済資金に充当するため、同日付でタームローン60(トランシェA(借入金額:2億円)、トランシェB(借入金額:9.5億円)、トランシェC(借入金額:8.64億円)、トランシェD(借入金額:24.35億円)、トランシェE(借入金額:14億円))の借入れを行った。これらにより当期末時点の平均借入期間は7.2年、平均残存期間 は3.9年、平均借入金利は0.74%となった。
その結果、当期末時点での有利子負債額は、967億円(期末総資産有利子負債比率:46.12%)となった。
主要指標(決算説明資料より抜粋)