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決算説明会資料拾い読み ケネディクス・オフィス投資法人
2019年4月期(第28期)決算説明会資料
今回取り上げるのは、2019年6月13日に開示されたケネディクス・オフィス投資法人(以下KDO)の28期(2019年4月期)決算説明会資料です。
KDOの資産運用会社は、ケネディスク不動産投資顧問株式会社にて、KDOは2005年7月に上場しています。
ポートフォリオ戦略(一部抜粋)
1.中規模オフィスビル中心
KDOは、「中規模オフィスビルを中心とした強固なポートフォリオを構築すること」を目標として、「中規模オフィスビルのNo.1 J-REIT」となるべく、資産の拡大を目指している。重点的に投資する中規模オフィスビルとは、建物規模による投資基準「延床面積1,000㎡以上、基準階占有面積150㎡以上」に相当する物件であり、都心5区における投資法人の保有物件では延床面積500坪から3,000坪の物件が大半を占める。中規模オフィスビル80%以上を投資することを目標とするほか、大規模オフィスビルを含む中規模オフィスビルに該当しないオフィスビル等についても20%以下の範囲で取得してゆくことを目標とすることで、ポートフォリオの安定化の目指している。
中規模オフィスビル市場の特徴と魅力は、
①大規模オフィスビルに比べ物件数が多いことから、潜在的な売買対象物件が相対的に多い。
➁物件の売買価格が10億円から100億円程度の水準であることから、大規模オフィスビルに比べ取引参加者が多く、相対的に売買が活発であるため流動性が高い。
③入居テナントの典型例を1フロアの専有面積100坪から150坪前後を利用する従業員30名程度の企業として捉えており、厚みのあるテナント層による比較的安定した賃料収入が見込める。
2.東京経済圏中心
経済活動が高密度に集積し、テナント需要が最も厚いマーケットと見込まれる東京経済圏に所在する中規模オフィスビルを中心とした優良物件で、安定性の高いポートフォリオの構築を目指している。また、一定程度の資産を地方経済圏に保有することで、立地条件、テナント構成の分散を図っている。
第28期のトピックス
1.投資環境
オフィスビル賃貸市場については、都心5区を中心に増床・拡張移転や立地改善等の需要が引続き堅調であり、稼働率、賃料水準共に高い水準を維持。三鬼商事株式会社が公表した2019年4月末時点の東京都心5区の平均空室率は、1.70%で、前年比で0.95ポイント低下、前期末(2018年10月末)時点との比較では、0.50ポイント低下。また、東京都心5区の平均賃料(新築を含む)についても、2014年1月以降64カ月連続で上昇を続けており、2009年4月以来の高水準となる21,279円(一坪あたり)となった。その他全国の主要都市においても、平均空室率の低下及び賃料水準の上昇傾向を確認することができる。
オフィスビル売買市場については、J-REITや私募リート、不動産会社等の国内投資家並びに海外投資家等の物件取得意欲は依然として旺盛であり、優良物件については、引続き厳しい取得環境が続いていることから、期待利回りは継続して低水準で推移し、取引価格の高止まりの状態が続いている。
2. 外部成長
28期中の物件異動は、27期に一部売却を行った都市型商業施設1物件(フレーム神南坂(準共有持分51.0%):売却価格52.53億円)を譲渡。取得については、29期となる2019年6月に調布センタービル(取得価格87億円)を購入。
郊外型主要都市オフィス物件に分類される当物件は、①職住接近、➁交通利便性が高い、③生活利便性・繁華性に優れる 等の特徴を持ち、社会環境の変化に対応するオフィスビル需要に求められる物件特性を保持する。KDOは郊外型主要都市オフィス物件を5棟保有している。(大宮、立川、府中、武蔵小杉、船橋)
3.内部成長
旺盛なテナント需要を背景に、稼働率は99.2%と引続き高水準で推移。1棟借りテナントの退去等により、退去率は上昇傾向にあるものの、需要は強く埋め戻しは順調に進捗している。
テナント入替時の賃料単価の推移では引続き拡大傾向にあり、27期末比+20.3%となる18,213円/坪。フリーレント期間の縮小と賃料単価の引き上げによる賃料収入の押し上は続いているが、マーケット賃料の上昇傾向も続いており、レントギャップも引続き高水準を維持していることから、29期以降も順調な内部成長が見込まれる。
4.財務戦略について
LTV45%を目途とした保守的な水準の維持により、安定的な財務体質維持。28期末時点のLTVは、41.7%にて45%の上限までの物件取得余力は、約260億円。
ポートフォリオの含み損益額は、上場来最高となる710億円に拡大。
主要指標(決算説明資料より抜粋)