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いちごHD、日本エスコンとの業務提携を発表
5月30日週のニュース概観
(写真/PIXTA)
概況
5月31日、いちごグループホールディングス(以下、いちごHD)が日本エスコンとの業務提携契約の締結を発表した。
業務提携に踏み切った理由として、両者のリリースはいちごHDが保有する商業底地案件の情報と日本エスコンが保有するホテル開発案件に関する情報を提供しあうことで事業の相互発展が見込める点を強調している。特にいちごHDは今回の業務提携がいちごホテルリートのパイプライン拡充に繋がるものと期待しているが、一方で日本エスコンはホテル組入を視野に入れた総合型リートの組成・上場に向けて動いているとも報じられており、今後の展開が注目される。
6月1日、マリモ地方創生リート投資法人を設立し、その上場に向けて動いていますが商業店舗特化型私募ファンドを組成したと発表した。
当該私募ファンドは合同会社と匿名組合出資を組み合わせた所謂「GK-TKスキーム」で組成され、運用期間は5年。原宿・表参道、JR山手線主要ターミナル駅前の商業施設に特化して投資を行う。マリモ以外に国内機関投資家5社が出資しており、資産規模は約54億円。
また大量保有報告書を提出するまでに進んだ日銀のJリート買入だが(5月19日に初の提出)、5月1~31日の買入額は144億円となった。月次買入額の最高記録を更新する数字である(今までの最高額は2015年7月の125億円)。日銀は依然Jリート買入を進める姿勢を崩していないが、当面売り手には回る心配のない日銀のプレゼンス拡大が他の投資家の行動にどのような影響を与えていくのか、実に興味深いところである。
物件動向
5月30日週は以下の4案件が発表された。物流施設3件のうち2件が五霞(ごか)、古河と近接したエリアでの開発となっている。従来より物流施設が多く集積している久喜から古河にかけての一帯だが、当該地域は古くは室町時代に関東足利氏(所謂「関東公方」)が諸国に睨みを利かせるために根拠地を構えた場所でもある。まさに長い歴史に裏付けられた「交通の要衝」と言えるかもしれない。
- a. 大阪府枚方市:「GLP枚方Ⅲ」計画
- 5月31日、GLPが発表した。開発費約230億円を投じて約5.2万㎡の敷地に延床面積約12万㎡のマルチテナント型物流施設を開発するというもの。2017年春~夏の着工と2018年の夏~秋の竣工を予定している。立地上、現時点の最寄ICは3kmの距離にある第二京阪道路「枚方東IC」だが、開発中の「(仮称)八幡JCT/IC」が完成して第二京阪道路と新名神高速道が連結されると利便性はさらに向上するとしている。
- b. 東京都港区:「ホテルオークラ東京本館建替計画」
- 6月1日にホテルオークラ、新日鉄興和不動産、大成建設がホテルオークラ本館の立替着工と立替後建物でオフィス事業も行うことを発表した。本館立替計画は地下1階地上41階の高層棟と地下4階地上13階の中層棟からなるが、オフィス事業が展開されるのは高層棟の8~25階部分。オフィス事業部分は竣工後にホテルオークラ、新日鉄興和不動産、大成建設等が出資するSPC(特別目的会社)に譲渡される。竣工は2019年春を予定。
- c. 茨城県猿島郡:「GLP五霞」計画
- 6月2日にGLPが発表した。同郡の五霞町に総開発費約230億円を投じ、約8.5万㎡の敷地に延床面積約14万㎡のマルチテナント型物流施設を建設するという計画。2017年5月に着工して2018年10月に竣工する予定。GLPとしては初の茨城県での開発となる当該案件だが、ユニークなのはテナント企業及び近隣GLP施設に対して燃料備蓄基地機能を提供する点である。平時にトラック用ガソリンスタンドとして軽油販売を行う他、災害時にはテナント企業や近隣GLP施設への燃料供給を行う。
- d. 茨城県古河市:「プロロジスパーク古河2」計画
- 6月2日にプロロジスが着工を発表した。敷地面積約2.4万㎡に延床面積約2.2万㎡の日立物流グループ向けBTS型物流施設を建設するという計画。竣工予定は2017年4月末。茨城県と都心部を繋ぐ新4号国道や圏央道、さらには東北自動車道へのアクセスに便利な立地。なおプロロジスの日立物流グループ向けBTS型物流施設は今回で6件目となる。